03-6826-6000受付時間9:00~18:00〔平日〕

事業譲渡をご検討の方へ

事業譲渡は、M&Aにおいて、会社の譲渡(株式譲渡)に次いで多く用いられる手法です。会社を丸ごと譲渡してしまうのではなく、一部の事業のみを譲渡します。選択と集中による経営の効率化や、ノンコア事業の現金化など、現在の経営や従業員を維持しながら新たなステージへ進むことができます。

目次

事業譲渡とは

事業譲渡とは、会社の事業そのものを第三者へ譲渡(売却)する方法です。事業譲渡における「事業」とは、営業目的のためのあらゆる財産のことを言います。設備等の有形財産だけではなく、事業に必要な人材、特許権等の知的財産権、ブランド、顧客リストや契約といった無形財産も含まれます。

資産・負債、従業員や契約など、何を事業譲渡の対象とするかを個別に選別するため、会社の譲渡(株式譲渡)と比べると一般的には手続きが煩雑になる傾向があります。

また、会社の譲渡の場合は譲渡対価は株主である経営者様個人に支払われますが、事業譲渡の場合は会社に対して譲渡対価が支払われます。譲受企業側から考えると、譲り受けるものと譲り受けないものを契約によって明確にできるため、簿外債務などを引き受けるリスクが少ない手法です。

M&A概要

事業譲渡の概要

仕上がり

事業譲渡の仕上がり

%は議決権比率

事業譲渡と株式譲渡の違い

中堅・中小企業のM&Aにおいて代表的な手法である株式譲渡と事業譲渡ですが、手続きや進め方にはどのような違いがあるのでしょうか。手順・手続きの違い、メリットとデメリットの比較、譲受企業側にとっての違いの3つのポイントからご説明します。

事業譲渡と株式譲渡の手順・手続きの違い

株式譲渡とは、株式を譲渡することによって会社の支配権(経営権)を移転する方法です。一方、事業譲渡とは、企業の事業そのものを譲渡する方法で、株式譲渡とは取引主体や目的が異なります。

契約内容について、株式譲渡契約は経営権の移転という視点から、旧経営者の個人保証、譲渡企業の表明保証といった条項が重要なポイントとなります。

事業譲渡契約の場合は、資産の売買という視点から、譲渡の対象となる事業・資産、従業員の取扱い、協業避止義務等の条項が重要なポイントです。

【株式譲渡と事業譲渡の主な違い】

株式譲渡 事業譲渡
譲渡側の取引の主体 経営者個人 (株主) 法人
売買の対象 株式 事業資産
契約 株式譲渡契約 事業譲渡契約
目的 経営権の取得 事業の取得

両手法とも、事前準備や譲受先候補の選定、条件交渉やデュー・デリジェンスなどといったプロセスは基本的に同じですが、契約内容や最終的な権利の引渡しに必要な手順が異なります。また事業譲渡の場合は、契約締結後に株主総会の特別決議による承認を受ける必要がある点にも注意が必要です。

【株式譲渡と事業譲渡の手順】

事業譲渡と株式譲渡のメリットとデメリット

株式譲渡と事業譲渡の主なメリットとデメリットを比較すると下記のようになります。

メリットデメリット
株式譲渡
  • 手続きが比較的簡便
  • 従業員や技術、取引先などを丸ごと引き継ぐことができる
  • 経営者個人が直接対価を得られる
  • 業界内や世間の風評懸念
事業譲渡
  • 譲渡したい事業のみ売却でき、事業の選択と集中ができる
  • 譲渡した資産の譲渡損を活用して法人税を軽減できる
  • 負の資産や不採算事業が残った場合は処理が負担となる
  • 譲渡事業の従業員の雇用関係の調整が必要となる

事業譲渡と株式譲渡の譲受企業側にとっての違い

譲受企業側にとっても、株式譲渡と事業譲渡では重視するポイントが異なります。

株式譲渡の場合、譲受企業は取引先や許認可、従業員など会社としての強みやメリットを丸ごと引き継ぐことができる反面、簿外債務や偶発的なリスクの負担を引き受けることとなります。

一方で事業譲渡の場合は、必要な事業、拠点のみを譲受でき、簿外債務や偶発的なリスクの懸念はありません

しかし、許認可が原則として承継されないことや、譲渡事業の取引先や従業員と改めて契約を結ぶ必要があるため、譲渡をきっかけにそれらの関係者が離れていってしまうリスクがあります。

譲受企業は、デュー・デリジェンスやトップ面談を通じて、譲渡企業の魅力や状況に関する情報を十分に収集します。

そのうえで、譲受後に見込めるシナジー効果や許容できるリスクの範囲、買収資金などを背景に、どのような形で事業を引き継ぐのかを検討します。

株式譲渡か事業譲渡か、という検討を行う場合、譲渡企業の事業や財務の状況、譲受候補企業の求める要素などを考慮しながら、総合的に判断することが大切です。当社では、専門知識をもったコンサルタントが経営者様のご心情に寄り添いながら意思決定をサポートさせていただきます。

株式譲渡についてさらに詳しく知りたい方はこちら

事業譲渡が有効なケース

事業譲渡では、事業の選択と集中や必要な資産を手元に残すことが可能です。経営者様の様々なお悩みの解決策となり得ます。

事業の選択と集中

  • 不採算の事業があるが、自力では改善できそうにない
  • ノンコア事業を切り離し、コアの事業に資源を集中したい
  • 事業を現金化して会社に資金余力を得たい

このようなニーズをもつ経営者様にとって、事業譲渡は有効な手段です。

事業譲渡における「事業」とは、設備等の有形財産だけでなく、事業の運営に必要となる営業権やブランド、知的財産権、従業員や顧客との契約などの無形財産も含めます。

譲渡するものと手元に残すものを個別に選定するため、株式譲渡と比較すると手続きが煩雑となりますが、手元に置きたい資産や従業員・契約などを選別することができます。また法律上、債権者に対して通知や広告を行うことなく手続きを行うことが可能です。

事業の選択と集中によって経営を効率化することができるとともに、譲渡事業も譲受企業とのシナジー効果により更なる発展を目指すことができます

必要な資産だけを手元に残す

競争環境の激化や経営者様の年齢の問題などにより事業を手放したいが、会社名義の不動産は引き続き手元に残しておきたい。

このような場合、事業譲渡であれば、事業だけを譲渡によって第三者に任せ、不動産収入など安定収益が見込める事業に特化した状態で会社を継続するという選択肢があります。

経営の一線からは退きつつも、経営者としての立場と安定収入を維持し、悠々自適な生活を送ることが可能となります。

事業譲渡で考えられるリスク

事業譲渡は、事業の選択と集中が実現できる一方でいくつかのリスクも存在します。どのようなリスクがあるのかを事前に理解しておくことが大切です。

時間と費用

会社譲渡を進めるためには、経営者としての職務と平行して譲受先の検討資料の用意トップ面談条件交渉をなどを行う必要があるため、多くの手間と労力が必要です。

希望通りの候補先が見つからない

業種や統合後の経営方針など、希望に叶う譲受候補先が必ず見つかるとは限りません。

候補先の選定が長引く場合は、時間的な猶予やその他の状況を総合的に勘案し、譲渡実現のため希望条件の一部を諦めるといった決断も必要となります。

候補先との交渉がうまくいかない

価格や受入条件など、候補先との交渉において双方の希望が相容れないこともあります。この場合も、譲受実現のため希望条件を一部諦めるか、もしくはもう一度新たな候補先を探すかといった選択を迫られることとなります。

成立前に交渉が破談してしまった

条件交渉やデュー・デリジェンスなど多くの時間を費やして最終契約の交渉へ進んでも、経営環境の変化や外部要因によって、譲渡成立を目前に交渉が破談してしまうことがあります。

事業譲渡の意向が第三者へ漏れてしまった

まだ候補先への打診や交渉途中の段階で、従業員や取引先に事業の譲渡について万が一漏れてしまった場合、会社の先行きや経営者様への不信感を招き事業に悪影響を与える可能性があります。

取引先や従業員のすべてを承継できない可能性がある

会社の譲渡(株式譲渡)の場合は、会社の所有者が異動するだけなので締結している契約や雇用関係の契約主体は譲渡後も変わらず、契約に影響が及ぶことはありません。

しかし事業譲渡の場合は、取引先や従業員との契約主体が譲渡企業から譲受企業へ変更となるため、すべて新たに契約を締結し直すことになります。再締結がうまく進まない要因がある場合、譲受企業との交渉や譲渡後の事業運営に支障をきたす可能性があります。

負の資産の処理

事業譲渡の後に残るのが不採算事業や債務など負の資産の場合、譲渡完了後に処理負担が発生します。

残った資産が借入金であれば譲渡で得た対価を充当することもできますが、全額を賄うことが難しい場合は譲渡後も経営者様が返済義務を負うこととなります。

株主総会の特別決議

事業譲渡の場合、譲渡の実行にあたって株主総会の特別決議が必要となります。

株主が経営者様のみ、もしくはそのご家族の範囲であれば特段の問題とはなりませんが、属性の異なる複数の株主がいる場合ですと株主総会の開催にあたって労力と費用が必要となる可能性があります。

上記のようなリスクに加え、事業譲渡の場合は譲渡の対象となる事業や資産によって交渉内容や税務の負担が異なります。そのため、信頼できるコンサルタントと仲介会社を選ぶことが、スムーズな事業譲渡の実現には不可欠です。

もし検討や交渉の段階において、経営者様ご自身がリスクを許容することが難しいと判断された場合は、その時点で事業譲渡に向けてのプロセスをストップすることもできます。当社では譲渡が成立するまで報酬はいただきませんので、交渉の段階で一旦お取りやめいただいても費用は発生いたしません

当社は、財務・会計コンサルティング会社としてM&Aに限らず幅広いサービスをご提供しており、公認会計士や税理士といった専門家が経営者様の意思決定をサポートさせていただいております。

事業譲渡の金額の考え方

事業譲渡の際に、その事業の譲渡金額がいくらになるのか、ということは経営者にとってとても気になる論点だと思われます。基本的な考え方としては、企業の譲渡(≒株式譲渡)と変わりません。

大きく分けて以下の三種類の評価方法があります。

  1. マーケット・アプローチ(上場している類似業種の企業と対象事業を比較して算定する方法)
  2. インカム・アプローチ(対象事業が将来見込まれるキャッシュフローから算定する方法)
  3. コスト・アプローチ(対象事業の譲渡資産額から算定する方法)

中小企業の事業譲渡でよく使われる簡便的な評価方法として、コスト・アプローチを応用した「譲渡資産時価+営業権」という方法で算定することがあります。

営業権というのは、その事業のプレミアム価値のようなものであり、通常は対象事業における営業利益やEBITDA(営業利益+減価償却費)のn年分という数式で算定されます。買収ニーズが強い業界(調剤薬局やマンション管理等)では5~10年分等の高い評価がつくこともありますが、基本的には1~3年分といった評価が相場となります。

事業譲渡の税金

事業譲渡を行うと、どのような税金がいくら発生するのでしょうか。売り手側と買い手側の場合に分けて説明していきます。

売り手側の税金

事業譲渡の場合、譲渡によってもたらされる利益(譲渡金額-譲渡資産額)は売り手企業の所得となるため、その他の利益と同じように法人税が課されます。法人税の税率は、株式譲渡の場合に株主が負担する所得税率(20%)と比較すると高くなります。

買い手側の税金

事業譲渡の場合、対象事業の譲受金額と譲受資産時価との差額(のれん)に相当する金額は5年間で均等償却し、法人税の算定上損金に算入することができます。株式譲渡の場合、のれんに相当する金額は損金算入することができないため、このような節税効果が得られません。

ただし、一方で株式譲渡の場合にはかからない消費税や、不動産取得税(対象事業に不動産が含まれる場合)等を負担する必要があります。

事業譲渡の成功事例

当社でお手伝いした事業譲渡の成功事例の一部です。この他にも様々な規模、様々な業種において実績がございます。

不採算の拠点を事業譲渡し業績が回復

運送業の経営者様が、不採算の拠点を同業他社に譲渡することで事業の選択と集中を行い、経営の効率化を実現したケースです。

当社とは事業再生コンサルティングからのお付き合いで業績は回復しつつありました。一つだけ利益をあげることのできなかった拠点を同業他社へ譲渡することで、その後も順調に業績を拡大されています。

M&A事例:不採算だった事業をM&Aで承継

美容系予約メディアを事業譲渡し注力事業へ資源を集中

美容系予約メディアを事業譲渡

インターネットメディアの運営や WEBシステム開発を手がける会社において、メディア事業を譲渡することで注力事業への投入資源を充実させたケースです。

経営者様は、今後の主力事業と位置付ける開発事業に社内のリソースを集中したいと考えており、同業他社へメディア事業を譲渡することで、サービスを停止することなく主力事業へ集中できる環境を整えました。

まとめ

事業譲渡では、事業の選択と集中が可能です。また、譲渡した資産の譲渡損を活用して法人税を軽減できる等、会社譲渡(株式譲渡)とは異なるメリットがあります。しかし、手続きが会社譲渡より複雑になるデメリットや、負の資産の処理の必要、従業員の雇用関係の調整等のデメリットも発生します。

よって、事業譲渡か会社譲渡(株式譲渡)かを決めるには、譲渡企業の事業や財務の状況、譲受候補企業の求める要素などを考慮しながら、総合的に判断することが大切です

当社では、専門知識をもったコンサルタントが経営者様のご心情に寄り添いながら意思決定をサポートさせていただきます。

もし検討や交渉の段階において、経営者様ご自身がリスクを許容することが難しいと判断された場合は、その時点で会社の譲渡に向けてのプロセスをストップすることもできます。当社では譲渡が成立するまで報酬はいただきませんので、交渉の段階で一旦お取りやめいただいても費用は発生いたしません

譲渡の成立ありきではなく、経営者様のご心情に寄り添いながら最適な方法を検討して参りますので、まずはお気軽に当社のコンサルタントまでご相談ください。

M&Aを真剣に考えられている経営者・オーナー様にM&Aネットワークスは本気で寄り添い、M&Aを実現させます

秘密厳守まずは無料相談 資料をダウンロードする