ソフトバンクグループがグループで保有するガンホー・オンライン・エンターテイメント株の約9割を売却することが明らかになった。
ガンホーが3日深夜に発表した。ソフトバンクグループから1日に売却を打診されたという。
ガンホーはTOB(株式公開買い付け)により、株式を取得する。買い付け総額は約730億円となる。
(2016/6/4付け 日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGD03H4F_T00C16A6000000/
【コメント】
ソフトバンクが持分法適用会社であるガンホーの株式を9割を手放すというニュースである。
ガンホーは数年前にパズドラがスマホゲーム市場を席巻したことで、
一時、時価総額が1兆円を超えるなど、異常なまでの成長を果たしたことで有名だ。
しかし、現在の時価総額は3,000億円超と、大幅に下落している。
そのため、ソフトバンクが放出する730億円という金額は、絶対額では大きいと感じるものの、
相対的に見ると決して高値での売却とはいない。
事実、ソフトバンクはガンホー株を取得するために1,000億円以上を費やしていることから、
むしろ損失を出している状況でもある。
では、なぜこのタイミングでの売却なのか。
考えられるのは3つだ。
① ガンホーは、パズドラの人気が落ち着き、今後もしばらく成長はないと考えたため。
② 別の投資等の理由から、特別な資金需要が生じたため。
③ 財務体質改善のため、12兆円ある巨額債務を返済するため。
上記3つ、もしくはそれぞれの組み合わせかもしれない。
ソフトバンクはアリババ株式を79億ドル(約9,000億円)で売却することも決まっており、
この意思決定も、財務体質改善の意味合いが大きいと言われている。
もしそれが本当であれば、これだけではまだ返済額は足りず、今後もさらなる資産売却が予想される。
そうすると、このガンホー株の売り時はいまいちだと言わざるを得ない。
そもそもゲーム事業を育てる気がなかったのであれば、
もっと早くに、売却をしかけておくべきだったのではないか。
もちろんこれは結果論に過ぎないが。
しかしながら、このような後手後手にも見える対応はソフトバンクらしくなく、
何か他に隠された意図があるのではないか、とも勘ぐってしまう。
今後のソフトバンクの動きからは視線が外せない。