こんにちは。
株式会社エスネットワークス M&A事業部の佐藤です。
このコラムでは、「間違いだらけのM&A」と題しまして、我が国の企業によくあるM&Aにおける認識の間違いについて、定期的に連載をしています。
前回のテーマは、
「『会社は高く売るべき、安く買うべき』という間違い」でした。
買い手と売り手が納得できる金額であれば、それが適正価格である、という内容のお話をさせていただきました。
先日、プロ野球の大谷翔平選手の契約改定を見て前回のテーマを思い出しました。
大谷選手の来季年俸は2.7億円だとのことで、私は「安いすぎる!」と思ったのですが、日本ハム側としても成績の評価だけでない、色々な要素があった上での提示額だと思いますし、また、この評価に対して大谷選手も納得している様子であり、やはり両者が納得していればそれが適正価格なんだな、と思わされた次第です。
話を戻しまして、第2回のテーマは・・・
「『業績が悪い、債務超過の会社はM&Aできない』という間違い」です。
業績が悪い、債務超過の会社はM&Aできないというのは間違いだ、という今回のテーマなのですが、
一点、勘違いさせてはいけない点は、業績が悪い、債務超過の会社は”どんな会社”であってもM&Aできるかといいますと、残念ながらそれは限りなくノーであるという点です。
重要なことは結果ではなく原因である、ということです。
「業績が悪い、債務超過である」というのは結果であり、なぜそうなったのか、という点がポイントです。
実は、技術力がすごくあったり、優秀な人材がいらっしゃるにもかかわらず、営業力の弱さや、マーケティング力の弱さから売上が減少しているというのはよくあるケースです。
また、コスト管理や、値付けが悪く、十分な利益が出ていないといような会社も山ほど見てきました。
上記の「原因」の部分を把握することで、M&Aの可能性はぐっと高まります。
後者のコスト管理、値付け等の問題は今一度管理体制を見直すことでいまからでも改善を進めることが可能です。
また、前者の問題を解決する手段こそ、まさにM&Aです。
M&Aとは、会社を身売りするというようなネガティブな手段では決してありません。
お互いの持っているリソースを結合することで、それぞれの成長をより促すことができるのがM&Aです。
自社の強みと弱みを今一度明確にし、強みをしっかりと訴求することができれば、
また弱みを明確に伝えることができていれば、
それらを欲し、補うことのできるリソースを持った企業とマッチングすることは明白です。
そんな企業に価格はつくの?
という点に関しては前回のテーマでお話したとおりです。
と、ここまでは、とても前向きなお話をさせていただきました。
しかしながら、例え売り手側が強みや弱みを明確に把握し、それが訴求できたとしても、相手があるのがM&A。
やはり買い手側も同じようなスタンスを持っていなければ成立はしません。
現状、日本企業の多くは、業績が良い会社を買いたい、という会社がほとんどです。
買収した瞬間に業績が悪くなってしまうのは、オーナー企業でない限り、株主への説明責任のある株式会社ではやはり避けたいところです。
しかし、買収後の伸びしろという観点から見ると、
すでに業績の良い企業よりも、良いものを持っているが”原因がある”ことで業績が悪い企業のほうが、
伸びしろは大きいはずです。
数字に現れる表面的な事業価値ではなく、無形である事業そのものを価値を見出してくれる
そのような企業がもっと増えてくれば、日本のM&Aマーケットはより活性化し、その結果として、より日本経済に大きく貢献するものと考えています。
筆者
佐藤 憲(さとうけん)
過去には経理改善支援や株式上場支援、資金調達支援等の業務に携わる。その後中小企業M&A仲介ビジネスの現状に疑問を抱き、エスネットワークスらしいM&A仲介のあり方を提示すべく、2015年よりM&A事業部の立ち上げに参画。M&Aという経営者にとっての大切な決断を安心して行えるようにと、常に本気の姿勢で経営者に寄り添い続ける。 最後の最後まで何が起こるか分からないのがM&A。決して諦めない姿勢がM&Aを成功に導くと信じ、日々数多の経営者とM&Aに取り組んでいる。