皆様はじめまして。
株式会社エスネットワークス M&A事業部 部長の新宅剛と申します。
私はこれまでの仕事のなかで、M&Aや事業承継、その他経営の重要な局面において、経営者・オーナーの方が重要な決断を下す場面に数多く寄り添ってきました。
そういったなかで印象に残ったことや考えさせられたことを、このコラムを通じて皆さんに少しずつお伝えしていきたいと思います。 同じような悩みを抱える経営者や会社オーナーの方に、少しでも有用な情報をお伝えできれば幸いです。
まずは、このホームページでも「経営者からの転職」で示している
社長からのキャリアチェンジに関するお悩みについてです。
起業して一定程度の成功をした人
起業して会社は継続しているけど、思い描いていた状況と異なる人
起業して早々に解散の憂き目にあう人
など、コンサルタントという仕事を通じていろいろな事情を抱えた経営者の方にお会いします。
特に会社の規模が小さい状況ですと、 起業した社長である自分自身が資金繰りをはじめとした管理面など 本来自分が得意とするところ以外の業務に忙殺されてしまい、本業になかなか注力しきれないという状況が生まれたりします。
本来は、自分が好きなことや得意なことを事業にして、それを柱に会社を大きくしようと考えていた若き経営者が、日々の資金繰りや管理業務に疲れてしまうというケースです。
そのような経営者の方は、一度事業を始めてしまった以上、そこからの軌道修正はできないものと考えているケースが多いように思います。
つまり、このまま会社経営を継続して状況を打開していくという選択肢しかなく、それ以外の方法が視野にないのです。
もちろん、退路を立って経営の道を突き進んでいく生き方により成功をつかむ方も多く いらっしゃいますが、どの経営者にとってもそれがベストな選択肢といえるのかと言うと、決してそうではないと思います。
このような状況でお悩みの経営者の方にお会いした時は、一度選択肢を広げて考えてみることをおすすめしています。
様々な確度から可能性を検討した場合、選択肢として
①経営の継続
②M&A
③廃業
④別の経営者へのバトンタッチ
が考えられると思います。
多くの経営者の方は、先に書いたように「①経営の継続」という選択肢でまず頭がいっぱいになります。
採用をした社員や、黎明期にお世話になった取引先、得意先、自身の責任で借りた借入金・・・。
自身で事業を興した経営者の方は様々な責任を抱えていらっしゃいますので、 「①経営の継続」を自らの手で最後までやり遂げなくてはならない、という心理的圧力がかかるのは当然のことです。
そのような状況で「①経営の継続」の可否を検討する際には
A:事業戦略上の観点
B:人生としての観点
の2つの軸で考えてみることをおすすめします。
A:事業戦略上の観点
まずは事業戦略として、現状の経営環境と経営体制において経営を継続していくことが、将来的に勝ちパターンにつながるのかどうか。 これはどんな事業にとっても最も重要なことですし、我々もコンサルタントとしてその検討に立ち会いお手伝いさせていただくことが多くあります。
B:人生としての観点
ただ、一度立ち止まって「事業そのもの」と「経営者の人生」というものを切り離して考えてみた場合に、「経営者という人生の形を選択した以上、事業を自分の手でやり遂げなくてはならない」と考えることは果たして正しいのでしょうか。 一度経営者という立場を選んだ以上、そこからキャリアチェンジすることはできないのでしょうか。
どれだけ、A:事業戦略上の観点 において事業の継続が最適解に思われても、 B:人生として観点 において、事業の継続と自分の求める人生の姿がマッチしないというケースは意外に多くあります。
会社の事業戦略を超えて経営者個人の人生として見たときに、経営を継続することが 本当に最適なのか?
この点にしっかりと向き合って答えを出すことが、今後の経営の継続、その他の道を選ぶにしても必要なことではないでしょうか。
次回は、A:事業戦略上の観点、B人生としての観点 について 実例を参考に掘り下げてみたいと思います。
筆者