日本経済新聞社がまとめた社長100人アンケートでは、「マイナス金利政策と企業経営」について聞いた。マイナス金利は企業活動に刺激を与えると期待されるが、設備投資、M&A(合併・買収)を増やすことを検討する経営者はごくわずかで、約9割が「従来の計画を変えず」と回答した。マクロ経済にはプラスと考えているが、現時点で企業の投資に与える影響は限定的であることが浮き彫りになった。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO03802750Z10C16A6TJC000/
(2016/06/20 日本経済新聞 )
■コメント
日銀が2月から導入したマイナス金利政策について、
自社の経営への影響は「特にない」が65.8%で最多となり、
具体的な取り組みとして、設備投資についても「従来の計画を変えない」
が86.2%に上り、M&Aでも90.4%が計画に変更なしと応えたとのことだ。
これはあるべき回答結果であり、この回答結果を見て筆者も安堵した。
なぜなら、M&Aひいては経営に関わる投資というのものは、
外部環境如何ではなく、あくまで、自社自身の戦略の一貫として行われるべきであると考えるからだ。
景気が良くなってきたから、銀行が後押ししてくれるから、
周りもやっているから、業界再編が進んでいるから、
そのような理由からM&Aを検討し始める会社も少なくない。
しかし、これらの理由には一番大事な「戦略」が抜け落ちており、
そういった買収の大半は、買収後のPMI(統合後プロセス)において失敗する。
これは至極当たり前である。
使い道を考えずに衝動買いしたものの多くはすぐに使用しなくなるということは、
個人のレベルで経験をしている人も多いはずだが、
これは企業買収においても同様である。
M&Aはその買収検討のプロセスにおいても多大な人員と労力、時間を割くことから、
いつしか買収自体が目的となり、その後の統合計画まで力が及ばないことがままある。
PMIは買収してから考えるのではなく、
常日頃から考えておくべきことであり、
そうできるか否かがM&Aの成否を分けるのである。