不動産大手のヒューリックは、東京・お台場の大型ホテル「グランパシフィック LE DAIBA」を京浜急行電鉄から5月に取得する。買収額は600億円超とみられる。運営もホテルオークラ(東京・港)に切り替え、2020年の東京五輪に向け訪日外国人需要を取り込む。
同ホテルは地上30階、地下3階建てで、客室数は884。新交通ゆりかもめの台場駅に直結し、羽田空港からは直通バスで20分と近い。周辺には東京五輪で使うビーチバレーなどの競技会場の設置が計画されている。
2016/4/26 日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO00092270W6A420C1MM8000/
【コメント】
記事によれば、京急は05年に同ホテルを日本生命保険から取得し、都心の地価や物件価格が上昇している今が売り時と判断し経営資源を品川地区の再開発に向けるとある。
M&Aと言えば、
①シェア拡大を狙った買収
②既存事業とのシナジー効果を狙った買収
③新規事業をしてあらたな収益事業の創出
といった企業価値の向上が目的としてなされ、ヒューリックもいずれかの理由に合致するのだと推測される。
一方で今回の京急が売り時のホテルを売却することにより得た資金をより注力したい分野に回すことを見れば、M&Aには資産運用の意味合いもある。例えばこの他にも、ワタミのように、介護事業に新規参入後M&Aを経て稼ぐ事業として成長させたのち、売却したことで厳しい本業が助けられる結果となった。
ちなみに、京急は05年に同ホテルを330億円で取得しており、今回倍近い利益を得ているはずである。資産運用のポートフォリオと同じように、リスクを分散し、事業運用していけば、いざというときの経営判断において打ち手が広がるのではなかろうか。