中国企業が世界でM&A(合併・買収)攻勢を強めている。2016年1~3月は中国企業による海外M&Aの総額が1011億ドル(約11兆500億円)に達し、早くも過去最高だった15年通年の実績に迫った。国を挙げて海外の先端技術やブランドを取り込み、自国産業の高度化につなげる狙いだ。国内経済が急減速していることもあり、摩擦もいとわず海外に活路を求める動きが広がる。
(2016年4月20日付 日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXKASGM06H5K_Z10C16A4EA1000/
【コメント】
中国企業によるクロスボーダーM&Aが勢いを増している。
今年に入り僅か3ヶ月で昨年の通年実績に迫っている。
記事によるとその理由は大きく2つであり、
①産業の高度化を進めたい政府の意向
②国内景気への不安
とのことである。
また、記事ではふれられていないが、人民元の対ドルでの下落傾向が買収の牽引役にもなっているといえるだろう。
表面的に捉えれば、国としての先行き不安を、民間だけに委ねるのではなく、国も一緒になって取り組む姿勢は高く評価できる。
事実、我が国でも中国同様国内景気への先行き不安は抱えており、アベノミクスをはじめとした様々な政府介入により後押されているものの、上手く機能しきれていないことからも対比できる。
しかし、一方で危険信号も見える。
中国企業は、本当に買収すべき企業に対し正当な評価での取得ができているのかという点である。
このトレンドと焦りから、高値での買収を迫られ、受け入れてしまっている事実もあるのではないだろうか。
技術、ブランドに照準を合わせているといっても、それらを活かすも殺すもヒト次第である。
無理なM&Aをした結果としてヒトがついてこなければ買収資金を回収することすら難しくなってくる。
一見、景気のよいトピックスにも見られるが、リスクとリターンの両面から中国の動きを見ていき、日本企業も良い点については取り入れていく必要があるだろう。