トヨタ自動車を主力取引先とする中堅部品メーカーのメイドー(愛知県豊田市)がホンダとの取引を主体とする日下歯車製作所(同)を買収した。 買収金額は非公表だが、10億円程度とみられる。 メイドーと日下はともに「ティア1」と呼ばれる自動車会社と直接取引する部品メーカーで、こうした企業間のM&A(合併・買収)は珍しい。
(日付 出典) 2016/4/12付
(http://www.nikkei.com/article/DGKKZO99536050R10C16A4TJC000/)
【コメント】 このM&Aは今後の反面教師になり得る2点の要素を含んでいる。
◯身売りによる事業承継であること
◯業界再編が周辺業界に波及していること
1点目に関して、 経営者の高齢化等様々な理由による引退は必ず訪れるにも関わらず、 計画なく、後継者育成を行う事を怠っていたために引退間際に後継者が育っていないことに気づく。 そして、一番大事な経営を続けるため、に会社の譲渡を選択した。
2点目に関して ホンダにとっても直接取引のあるサプライヤー先が、競合であるトヨタ系列の会社に買収されることは、 情報の流失等かなりの痛手が想像できる。 自社のサプライヤーが思わぬ形で競合他社に取引が変更になるのは、 サプライヤー管理の一つとして出来るかどうかを認識していれば、 何らかの形で救済の手を、自社に有利な形で提供出来ていたのかもしれない。
今回のM&Aは”予期せぬ”理由が重なったと推察できるが、 計画なきM&Aは、買収後に失敗する可能性を高めてしまう。 取引先にとってはサプライヤー先を変更する、追加の間接コストが出てきてしまう上、 思わぬ形で情報が他社に流出する潜在的リスクが発生しうるだろう。
今後も事業承継・業界再編が絡んだM&Aは拡大していく。 自社の承継計画を持つことは必須の時代だが、 更に一歩踏み込み、取引先の状況も加味しながら経営を行っていく必要を今後は認識しなければならないだろう。