中国の商業施設運営会社、上海豫園旅游商城は北海道のスキー場、星野リゾートトマム(北海道占冠村)の株式100%を買収すると発表した。取得額は183億円。11日に契約を結ぶ。中国人観光客に人気の北海道のリゾート買収により、収益を拡大できると判断した。
(2015年11月11日付 日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/ma.aspx?g=DGXLASGM11H1Q_11112015EAF000
【コメント】
今回のM&Aが、個別の会社の経済合理性を超えて、地域の観光資源としての魅力にどのような影響を与えるのかを考える必要もあるのだと思う。
トマムといえば、雲海テラスが有名で日本を代表する観光地における代表的なスポットでもあった。ここが中国企業に買収されるということは、中国の方の好みにあったテイストに様変わりするという可能性も考えられる。中国からの観光客をメインターゲットとする施設になることを想定すると、おそらくそのようになっていくのだろう。今後、日本へのインバウンド顧客の増加に伴い、日本の観光施設はこのようなインバウンドM&Aの傾向を増していくことも想定されるがそういった中では、地域全体の醸し出す風土や、集合体としての観光地の魅力を守り続けるという政策も必要になってくるのだと考えられる。
日本において日本の魅力を守り続けるということは、それはかならずしも排他的な政策ではなく今後の将来においても、日本が魅力的な国であり続けるために、日本という個性をデザインし守り続けることにより魅力を発信し続けるということなのだと思うのである。
今回は、個人的にも思い入れのある観光施設のM&Aということで、多少エモーショナルな記載になったことをお詫びしたいと思うとともに、今後の日本における観光政策についても日本の良さは何か、そして良いものは守り続けるということを個別の企業を超えて意識していくべきなのではないかということを強く感じる。