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M&Aトピックス一石二鳥の節税対策となりうる、相続税の「遺言控除」とは

今年7月、見慣れない言葉が突然新聞をにぎわせた。「遺言控除」である。これが実現すれば遺言に基づいて遺産を相続した場合には遺族の相続税負担を減らすことができるという。家族トラブルの回避につながる上、相続税負担を減らせるという、いわば一石二鳥の節税対策ともいえるこの「遺言控除」とは一体どのようなものなのか。また、ただでさえ遺言証書の作成件数は年々増加しているのに、なぜわざわざこのような制度の導入が検討されているのか。その理由を考えてみる。

 

■増える相続トラブル
 「遺言控除」は自民党の「家族の絆を守る特命委員会」が新設を要望する方針を固めた。相続税は、遺産総額から基礎控除額を差し引き、残りの額に税率をかけて算出する。現在の基礎控除額は「3千万円+法定相続人の数×600万円」だ。遺言控除はこの基礎控除に上乗せする形で導入されることが予想される。現段階では控除額がどれだけになるのか、控除が受けられる遺言書の要件はどうなるのかなど具体的な内容は不明だ。

 

税収を犠牲にしてまでも、遺言控除を国策として推進していこうとする背景には相続に関するトラブルが増加していることがある。特に最近増えているのが共有不動産をめぐるトラブルであり、これが資産の有効活用を妨げることにつながっている。

 

■専門家が薦める遺言書とは
 相続をめぐるトラブルの原因の大半は被相続人の最終意思がはっきりしていないことにある。そこで、相続をしたい人が明確に意思を伝え、遺族が円満に相続を進める最も有効な手段として遺言がある。

 

遺言には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類がある。遺言者の真意を確認すると同時に、後の変造・偽造を防ぐために厳格な形式・方式が定められている。定められた形式・方式が守られていない場合、無効とされることもある。

 

この3種類の中で多くの専門家は公正証書遺言を薦めている。公正証書遺言では必ず専門家のチェックが入るため、形式が整わず無効となる可能性が極めて低いからである。紛失や偽造、改ざんの危険性がなく、相続をめぐる争いが裁判まで発展した場合には公正証書遺言の証拠能力が高いとされている。

 

最近では金融機関も積極的に相続関連のビジネスを強化している。単に遺言書を作成するだけではなく、遺産分割手続きの実施までサポートしてくれる。

 

■相続ビジネスが熱を帯びる

遺言書の作成件数は年々増加しており、2013年にはついに10万件の大台を超えたとされる。ここ数年は今年1月からの相続増税を見越しての駆け込み需要だったと思われるが、相続の発生件数全体からみると、遺言書が書かれた件数の割合はまだまだ少ないとの分析もある。

 

「遺言控除」をきっかけに、今後、さらに遺言に対する関心が高まるとともに、相続関連ビジネスも熱を帯びてくることだろう。ただし、公正証書遺言を作成したり、金融機関で相続に関するサービスを利用したりするためにはコストがかかるため、「遺言控除」を使う際には、どれだけのメリットがあるのかをきちんと確認する必要があるだろう。

 

 

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