IN-OUTとは、国内企業(in)によって外国企業(Out)合併や買収が行われること。「IN-OUT型M&A」ともいわれる。国をまたいで行われる「クロスボーダーM&A」の一種。
IN-OUTに対して、国内の企業が国内の企業を買収することを「IN-IN」外国の企業が国内の企業を買収することを「OUT-IN」と言う。
M&Aの成功件数は2006年をピークに落ち込んでいたが、2010年のリーマンショック以降、再び年々増加傾向にある。ピーク時の件数はまだ越えられていないものの、回復傾向にあるといえる。その内訳の大半は国内企業同士のIN-INである。近年では日本企業が海外企業を買収するIN-OUT件数が少しずつ増加傾向にある一方で、海外からの買収OUT-INのケースは減少傾向にある。
IN-INの成功件数自体は全体の約7割と着実に数が増加しているものの買収価格はさほど高くない。それに対してIN-OUTはIN-INに比べ、件数は3分の1程度だが、金額は3倍近い。つまり一件につき約10倍の莫大な資金が投じられることが多いため、ニュースなどでも話題になりやすい。
近年のIN-OUT型M&Aの例としては、ソフトバンクがイギリスの半導体開発大手であるアーム社を買収、アサヒグループがベルギーのビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブから東欧5カ国のビール事業を買収、三菱東京UFJ銀行がタイのアユタヤ銀行を買収などが挙げられる。人員や販路だけで無く、自社にはない技術を取り入れ、更なる成長を目指す国内企業が海外の大企業の買収に成功している。
1980年代、円高やバブル経済を背景に、日本企業における「外国買い」が流行。ブリジストンによる米ファイアストンの買収やソニーによるCBSレコードや米映画大手コロンビアピクチャーズの買収など、一度ピークを迎えた後減少したが、現在は再び安定して増加し始めている。
増加の背景として、少子高齢化問題や成熟社会により日本国内需要が伸び悩む中、企業のグローバル化は国家戦略の優先課題であるとして、日本政府は海外進出を推奨しており、アベノミクスで実施された異次元緩和による円安の影響も大きいと考えられる。
IN-OUT型M&Aの相手としては欧米の会社が多くみられる。かつてバブル期には、欧米系企業は日本企業によるM&Aに対して抵抗感を示す傾向にあったが、昨今ではそういった感情は緩和されつつある。
「自社にはない、国内にない技術」や「成長」を買うために、M&Aが有効な手段として、大企業だけでなく、中小企業や国内の企業同士が協力し海外進出を進めるようになってきている。
また、東南アジアやアフリカといった市場はインフラなども開発途上であり、若手の働き手が豊富な為、進出する企業が増えてきている。その他、欧米諸国の日本車や日本食といった「日本ブランド需要」を狙う企業も少なくない。
一方で、M&Aに失敗した件数も少なくない。非常に高額な金額が運用されるM&Aはその分リスクも高く、それが、件数が増え辛い一因となっていると考えられる。