親会社

親会社とは、一般的には、資本参加、営業の賃貸借、経営委任、役員派遣などの方法
により、他会社の財務及び事業の方針の決定を支配している会社をいう。

これに対し、親会社によって支配されているものを、子会社または従属会社という。

法的には、子会社の議決権の過半数を所有している会社のことを指すが、議決権の40%以上50%以下を所有している場合でも、子会社と緊密な関係があり、自己の意志と同一の内容の議決権を行使するものが議決権の過半数を占めている場合や、役員等が取締役会等の構成員の過半数を占めている場合なども親会社という。

また、親会社の中でも、対象会社の発行済株式総数のすべてを保有している場合は「完全親会社」という。

これまで、旧商法と証券取引法では、親会社の定義が異なっていたが、会社法では実質基準の考え方が導入され、証券取引法(現在の金融商品取引法)とほぼ同じ考え方となった。

関連会社

関連会社とは、株式会社(子会社を有する場合には、子会社も含む)が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外で、財務、営業、事業の方針について重要な影響を与えることができる会社のことをいう。

株式の20%以上~50%未満を所有されており、人事、経営財務に関してある程度支配されている状態が原則である。しかし、重要な融資や技術提供など、実質的にその会社から受ける影響が大きいと認められた場合は、20%未満でも関連会社となることがある。代表取締役、取締役等の役職に、その会社の役員等が就任している場合も同様である。
尚、株式の50%以上を所有されている場合は、子会社となる。関連会社と子会社を併せて「グループ会社」と称する。

関連会社を所有するメリットとしては、関連会社に仕事を発注した際その発注額の一部が返ってくることが挙げられる。また、同じグループ会社の為、商談等も有利に進めることが可能となる。

子会社

子会社とは、一般的には、資本参加、営業の賃貸借、経営委任、役員派遣などの方法により、親会社により財務及び事業の方針の決定を支配されている会社をいう。

法的には、親会社に議決権の過半数を所有されている会社のことを指すが、議決権の40%以上50%以下を所有されている場合でも、親会社と緊密な関係があり、親会社の意志と同一の内容の議決権を行使するものが議決権の過半数を占めている場合や、親会社の役員等が取締役会等の構成員の過半数を占めている場合なども子会社となる。

原則として、子会社は親会社の連結財務諸表に連結される。

また、子会社の中でも、その発行済株式総数のすべてを他の株式会社に所有されている場合は「完全子会社」となる。
完全子会社は親会社に株式の100%を掌握されているため、証券株式場などでその株式を売買することが不可能となり、他社に完全子会社化された会社は、その時点で上場廃止となる。

これまで、旧商法と証券取引法では、親会社・子会社の定義が異なっていたが、会社法では実質基準の考え方が導入され、証券取引法(現在の金融商品取引法)とほぼ同じ考え方となった。

会社更生法

会社更生法とは、株式会社の形態をとる企業が、経済的に窮況にあるが再建の見込みのある場合、裁判所の手にゆだね事業を継続しつつ再建を図るためにつくられた法律。

破産法が、企業の清算を目的とするのに対し、会社更生法は、企業の解体,清算による社会的損失を防ぐため、企業の再建を目的とする。

会社(あるいは大株主、大口債権者)から裁判所に申請がなされると、裁判所は、財産保全命令を出す。
再建のための計画や、計画を遂行する管財人を選任し、管財人はその権限において債権者や株主などの利害調整を行いつつ再建を進める。
再建が軌道に乗り、更生手続きが終了すれば、会社の経営は取締役の手に戻る。

逆に再建の見込みがない場合は破産手続き等に移行される。

企業再生支援機構

企業再生支援機構は、有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている中堅・中小企業、その他事業者の事業再生を支援することなどを目的として2009年10月に国の認可法人・企業再生支援機構として設立された。金融機関からの債権の買い取りや出資、経営者の派遣も行う。

2013年3月に法改正に伴い「株式会社地域経済活性化支援機構」に改組された。
同機構は、REVIC(Regional Economy Vitalization Corporation of Japanの略)と称し、事業運営の基本方針として以下の3つを挙げている。

  • 先導的な地域活性化・事業再生モデルの創造
  • 地域活性化・事業再生ノウハウの蓄積と浸透
  • 専門人材の確保と育成及び地域への還流

サービサー

サービサーとは、債権回収会社のこと。法務大臣の許可を得た民間の債権管理回収専門業者をいう。

債権回収会社とは、弁護士または弁護士法人以外の者で、金融機関等から委託を受けまたは譲り受けて、「不良債権」を買い取り債務者から管理回収を行う。

従来日本では、弁護士法により、弁護士または弁護士法人以外のものが債権回収業務を行うことは禁じられていたが、不良債権の処理等促進のために「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」が1999年2月に施行され、弁護士法の特例として債権管理回収専門業者が設立されることとなった。

このサービサー法律は金融機関にとっては非常に画期的な法律と言われている。
なぜ画期的なのかと言うと、銀行側は「不良債権」をサービサーに売却することにより、貸し出した債権と譲渡した債権の売却価格の差額を「売却損」として計上でき、無税償却にて帳簿から消せることになるからである。

事業再生ファンド

事業再生ファンドとは、プライベートエクイティファンド(Private Equity Fud)の中でも、特に破綻懸念先や実質破綻先、破綻先といった企業に対し投資、M&Aを行うファンドを指す。

投資後は、財資金調達方法の見直し、不採算事業の売却、営業手法の改善、コスト削減などの事業再生支援を地方金融機関などの外部協力機関と共同して実施し、事業再生を果たす。それにより価値の向上した株式を転売、もしくは再上場することによって利益を得る。

事業再生ファンドは、上記のような事業再生のノウハウの提供による経済社会への貢献と、リスクは大きいが成功すれば高い収益を得ることが出来るリスクマネーの供給という重要な機能を果たしている。

中小企業再生ファンドとも言う。その場合は、中小企業基盤整備機構、金融機関、地方公共団体、事業会社などにより出資を受け、それを元手に、事業再生に取り組む中小企業の資金調達の円滑化及び再生を支援する目的のファンドを指すことが多い。

実質破綻先

実質破綻先とは、金融機関が金融検査マニュアルに基づいて行う債務者の区分の一つで、実質的に破綻している状態にある債務者に対する金融機関の自己査定上の呼称である。

具体的には、法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められるなどの状況である。

金融機関は、金融庁の「金融検査マニュアル」に従って各取引先を5つの債務者区分(破綻先、実質破綻先、破綻懸念先、要注意先、正常先)に分類する。金融機関に、融資申し込みの段階で「要管理先」以下に分類されれば、新規融資は困難となる。融資を受けるためには「正常先」、少なくとも「要注意先」の区分に入らなければならない。

第二会社方式

第二会社方式は、スポンサー型のM&Aにおいてよく用いられる方式である。

財務状況が悪化している中小企業の収益性のある事業を会社分割や事業譲渡により切り離し、他の会社事業者(第二会社)に承継させる一方、不採算部門は旧会社に残し、特別清算等をすることにより事業の再生を図ることを言う。

「改正産業活力再生特別措置法」(2009年6月22日施行)により、第二会社方式による中小企業の事業再生を支援するため国が「中小企業承継事業再生計画」を認定。過大な債務を抱えていること等により財務状況が悪化し、事業の継続が困難となっているものの、収益性のある事業を有している中小企業に対し各種支援策を与える制度が創られた。

第二会社方式を活用することで、想定外の債務リスクを防ぎ、税務上の損金算入手続が容易になるため、スポンサーや金融機関の協力が得られやすくなる。

また、過剰債務が切り捨てられ優良な事業だけで再生を図ることで、再生実現の可能性が高くなり、事業の存続により地域の雇用確保、取引先への債務履行などが可能になる。

しかし、やり方によっては、詐害行為取消や法人格否認の対象になる場合もある。

デットエクイティスワップ

デットエクイティスワップとは、Debt(債務)とEquity(株式)をSwap(交換)すること。日本語で、債務の株式化を指す。DES(です)と略して表現されることもある。

貸し手側である金融機関にとっての、債権を元手にした出資を意味する。過剰な債務により経営不振に陥った企業を支援、再生を図る目的で行う、不良債権処理の一種であり、債務者の有利子負債を削減させ、企業再生を行うための一つの手段であると考えられている。

金融機関が保有する債権を現物出資し、株式、主に優先株に振り替えることによって、企業側の、返済義務のある債務が減少し、返済義務のない資本が増加することから、企業側にとってのデットエクイティスワップは、単なる債務削減の技術としてとらえるのではなく、企業のバランスシート(貸借対照表)を真に継続可能な状態に作り直し、資本比率の改善、ひいては経営革新を行うための一つのステップとして活用する視点が重要といえる。

また、金融機関側にとっては、確定的に債務を失うこととなる債権放棄よりも、債権はなくなるものの相手企業の株式を入手することで資産の減少を免れるという経済合理性が高い選択となる。また、もし企業再生が実現し保有株式が値上がりすれば、株式の売却益を手にすることで、貸倒れによる損失を回避できる可能性もある。

その半面、不良債権の表面化を避けて損失処理を先送りすることでもあるため、安易なデットエクイティスワップを抑制する意味で2006年5月の施行の新会社法においては、資産の価格である債権の時価に応じたデットエクイティスワップしか認めないこととされている。

なお、デットエクイティスワップには、債権を現物出資する「現物出資方式(現物出資法)」と金銭出資及び債務の返済を組み合わせる「新株払込方式(現金振替法)」の二つの手法がある。

破産

破産とは、債務者が債務を完済することができなくなった状態。または、そのような状態になった場合に、債務者の総財産をすべての債権者に公平に弁済するための清算手続きをいう。

一般的には、債務者自身の申立てにより、破産手続の開始決定を受けるが、当該会社の役員や債権者が申立てることもできる。

申し立てがあると、裁判所は破産原因を検討・判断する。
その結果により、破産宣告が行われ、破産管財人(弁護士)が選任される。
破産手続き終了まで、破産者の財産の管理処分権限は破産管財人だけが握る。
破産管財人は財産を調査・評価・換価し、破産者の財産の換価、処分を行う。
債権者集会が開かれ、破産終結決定により破産手続きは終了する。

リストラクチャリング

リストラクチャリングとは、ビジネス構造を再構築・変革を行なうことをいう。

日本略称はリストラ。日本では1990年代初頭バブル崩壊以降に行った整理解雇を「リストラ」と言った為、
リストラ=整理雇用のイメージが強いが、必ずしも整理解雇のことだけを指すものではない。本来の意味は、企業環境の変化に伴い企業の構造を変えていくことや、事業構造を組み替えることにより積極的に経営のあり方を変革させていくことをいう。

リストラクチャリングの具体策としては、下記の様な方法がある。

  • M&A(企業の合併・買収)
  • 本社・事業部・工場の分離・分社化
  • 不採算部門や事業分野の縮小・整理・撤退・売却
  • 有望部門・事業分野へ経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を集中させる
  • 多角化の推進または縮小
  • 製品系列の拡大または整理、生産・販売拠点の海外展開または撤退
  • 企業集団ないし企業系列の形成や再構成

DES

DESとはDebt Equity Swap(デット・エクイティ・スワップ)の略称で、企業のDebt(債務)とEquity(株式)をSwap(交換)することで、債務の株式化のことを指す。

一般的に、過剰債務や経営不振に陥った企業の再生を支援する目的で、その企業の保有する金融機関が使う手法。
保有する貸付金の一部を株式に振り替えることによって企業の債務超過状態を解消し、財務体質の改善を図る。

企業にとっては、自己資本比率の上昇と短期的な運転資金の増加がもたらされ健全な財務体質になるというメリットがある。
一方、債権者は株主として経営に影響力を持つことができる。

なお、DESの手法は二つで、債権を現物出資する「現物出資方式(現物出資法)」と金銭出資及び債務の返済を組み合わせる「新株払込方式(現金振替法)」がある。

キラー・ビー

キラー・ビーとは、敵対的買収で標的となっている企業を援護する勢力のこと。

具体的には被買収企業側のアドバイザー(インベストメント・バンカー:投資銀行員)を指す。
証券引受やM&Aの業務を行う投資銀行が、キラービーと成りえ、攻撃を受けている買収される側の企業のアドバイザーとして、敵対的M&A合戦の中で戦略を構築する。

語源は1956年に研究のためにブラジルに輸入されたアフリカ蜂に由来。
輸入された474匹の女王蜂の子孫26匹が、誤りによって外部に解き放たれてしまった。たったの26匹だったのだが、人間や家畜にとっての甚大な被害を及ぼし、1970年代までに200人が死亡したとされる。この蜂は攻撃性があり、数時間しつこく襲い続ける上に、行動範囲が広いことから、どこまでも攻撃対象を追い続けるという性質をもつ。
この性質が、敵対的買収の攻防の場において、被買収企業側のアドバイザー(インベストバンカー)の、敵対側に対して、防衛のみならず強い攻撃を仕掛ける点や、特に脆弱な部分を見つけてしつこく攻撃し続ける性質と似ていることから、彼らを「キラー・ビー」と呼ぶようになった。

クラウン・ジュエル

クラウン・ジュエルとは、敵対的買収に対する防衛策のひとつ。

買収を仕掛けようとしている側にとって魅力的な資産や事業を売却・分社化することで、買収への意欲をなくさせる方法である。焦土化作戦等もいう。

この言葉は、王冠が狙われている場合に、その王冠に組み込まれている宝石を取り外すことで、王冠の魅力を低下させ、狙われなくするということになぞられて用いられている。
なお、会社法で、企業の重要な事業を譲渡する場合には株主総会の特別決議が、重要な財産の譲渡のためには、取締役会の決議が必要とされている。

ただし、このような財産譲渡を行う場合、この決定は株主の価値を毀損しかねないため、決定を下した取締役は、取締役としての忠実義務違反を問われる可能性も有る。

ゴールデンパラシュート

ゴールデンパラシュートとは敵対的買収に対する防衛策のひとつ。日本語で「黄金の落下傘」の意。

敵対的買収が行われた後は、現任の経営陣や役員が解任されるケースが多い。ゴールデンパラシュートはその点に着目し、あらかじめ巨額の退職金契約をしておくことで、買収後の出費が多い事から、買収への意欲を減じさせる効果が見込まれる。

通常、ゴールデンパラシュートに使われる退職金の額は取締役の年収の3倍程度であると言われている。
買収の際には、従業員がリストラで解雇される中、経営陣や役員が高額の退職金を持って退職するのは印象が悪い為、条件付きのストックオプションのような形態をとったりする。
ゴールデンパラシュートという名称は、買収によって乗っ取られた企業から脱出する手段として、お金をパラシュートに見立てた表現から来ている。
同様に、従業員の退職金を高額にする対抗策をティンパラシュート(ブリキの落下傘)ともいう。

米国では、ゴールデンパラシュート は取締役にとっての保険としての要素が強く、敵対的買収に対する対抗措置ではなく、むしろ敵対的買収を促す効果があるとの見方もある。

ジューイッシュ・デンティスト

ジューイッシュ・デンティストとは、敵対的買収に対する防衛策のひとつ。

敵対的買収の標的になった際に、マスコミを利用して買収者のネガティブイメージを宣伝することで、社会的信用を貶めることでTOBを失敗させる方法である。
社会的信用を大きく下落させられた買収側は株式公開付けをしても、既存株主から相手にされず、更に一度失った社会的な信用を回復させるために、資金を投入しなくてはならず、買収資金が圧迫されることとなる。

ジューイッシュ・デンティストは直訳すると「ユダヤ人の歯科医」。
アラブ資本が入った会社が、ユダヤ人の歯科器具メーカーの敵対的買収を図ったときに使われた防衛策であることから来ている。
買収ターゲットにされた企業や歯科医師たちは、その買収を画策した企業のネガティブキャンペーンを行い、社会的信用を失墜させることに成功。買収企業は信用回復に大きな資金を投入しただけでは無く、買収資金の調達も難しくなり、結果株主もTOBに応じなくなった。

スーパー・マジョリティ条項

スーパー・マジョリティ条項とは、敵対的買収に対する防衛策のひとつ。

株主総会における決議要件を定訳によって予め厳しく設定し、買収後の意思決定がスムーズに進まないようにすることで、買収への意欲をなくさせる方法である。

例えば、通常、買収・合併など特別決議を要する重大決定を行う際には全株主の三分の二以上の賛成を要するが、これを「全株主の90%以上の賛成を必要とする」という内容を定訳に盛り込んでおくなど。

しかし、自社が苦境に立たされ、会社を売却しなければ存続できない事態となってしまった場合、せっかく友好的な形のM&Aが成立しそうになっても、このスーパーマジョリティ条項を満たすことができないことが原因で、成立しないということもある。

敵対的買収から自社を保護したり、敵対的買収を行おうとする買収側の意欲を減退させる手段としては有効だが、状況によっては、自分自身の意思決定の妨げとなる可能性があるので、その点は十分注意する必要がある。

スタッガード・ボード

スタッガード・ボードとは期差選任取締役(会)の意。「捻じれた役員会」などともいわれる。

敵対的買収に対する防衛策のひとつで、取締役の改選時期をずらし、同時に全ての取締役が入れ替わることがないようにすることで、経営権を掌握されるまでの時間稼ぎをする方法。

具体的には、取締役を複数のグループに分けて、取締役の選任時期を意図的にずらすことにより、仮に他企業(買収側)から自社が買収されても、取締役を一度に交替させられるという事態を避ける。これにより、敵対的買収企業側に実質的な経営権を握られるまでに時間稼ぎをすることがきる。

スタッガード(Staggered)には「互い違いにする、ずらす」等の意味と、「決心をぐらつかせる」という意味があり、スタッガード・ボードは、この双方の意味を含めた言葉だと考えられる。

バックエンド・ピル

バックエンド・ピルとは、敵対的買収防衛策であるポイズンピルの一種。
新株式を発行する余地がないため、ポイズンピルを用いることができない場合に、このバックエンドピルの活用が検討される。

買収標的となる会社が、一定の条件を満たした場合に、株主に対して持株を債権や現金に交換できる権利を付与することによって、買収コストを高め、買収を断念させる戦略のこと。

株式の一定比率が買い占められ、この買収が、株主の権利に基づく債権・現金の交換価値より高い価格で実行されないような場合に、この権利が有効になる。

バックエンド・ピルは名目上、株主の投資を保護する役目を持つ。しかし、敵対的な買収者が企業を買収しても、経営が改善され企業価値が高まる見込みが高い場合、現経営陣の保身のためにこの方策を用いることが株主の利益になるとは限らない。

パックマン・ディフェンス

パックマン・ディフェンスとは、敵対的買収対抗策のひとつ。被買収企業が、逆に買収企業に対して買収をかけることをいう。

1980年代にヒットしたテレビゲームの「パックマン」が由来。
同ゲーム中でパックマンは、普段はモンスターに追われているが、パワークッキーを食べると逆にモンスターを食べて反撃することができることになっている。
そのため、敵対的買収者をモンスター、被買収企業をパックマンに見立て、敵対的買収者に対して、ある時点から、逆に買収をしかける被買収企業の防御の方法を「パックマン・ディフェンス」という。

例えば、被買収企業が敵対的買収者そのものを買収すれば、当該企業の買収を企図している企業の取締役を解任して、買収されるのを止めることができる。
レバレッジド・バイアウト (LBO) などのように金融機関を媒介にして「小が大を食う」買収が仕掛けられた際の対抗策として有効である。

ただし、相手が買収可能な上場会社でなければ発動できない。

また、被買収企業がホワイトナイトに依頼し、買収企業の株を大量取得して買収する方法も存在する。

プロキシー・ファイト

プロキシー・ファイトとは、株主総会の議決において株主が議決権獲得を会社の経営陣と争うこと。委任状争奪戦と訳される。

経営陣と敵対する買収者が、取締役の選任、定款の変更、合併等の重要な事項の承認を得るために、一般株主から議決権行使の委任状(プロキシー)を取り付け、多数派工作を行う場合に用いられることが多い。

日本では下記の様な事例がある。

  • TBSの2007年6月開催の株主総会において、筆頭株主である楽天グループが、『三木谷浩史楽天社長らの社外取締役選任』などを求める株主提案を提出し、TBSとの間でプロキシーファイトを繰り広げた。
    採決では、TBS株主の賛同を得られず、圧倒的な反対多数で否決された。
  • 大塚家具における、2015年(平成27年)3月開催の株主総会において、大塚勝久氏と大塚久美子氏の創業者一族内での「お家騒動」が勃発。1月経営陣の父親、大塚勝久氏が、現経営陣の娘大塚久美子氏の退任を要求して、株主に委任状を送付したが、結果、父親のプロキシーファイトは功を奏さず、大塚久美子氏側の勝利で終了した。

銀行や取引先などとの株の持ち合いが減る一方、ファンドなど「モノ言う株主」が増えているため、今後、経営陣の提案に株主が異を唱え、委任状争奪戦に発展する例が増える可能性がある。

ポイズン・ピル

ポイズン・ピルとは、敵対的買収を仕掛けられた企業側がとる買収防衛策の一つ。毒薬条項ともいう。

新株予約権を予め発行しておき、一定の条件が満たされると、予め時価よりも安い価格で新株式を引き受けられる権利を与えておき、株式を希薄化することで買収する側の持ち株比率を下げ、かつ買収側のコストを上げるなどの効果を期待する仕組み。
被買収企業側が用意しておく「毒薬」という意味でこの呼び方がされる。

アメリカでは、ポイズン・ビルにも下記のような種類が存在する。

・フリップイン・ポイズン・ピル(flip-in poison pill):買収成立前に、買収者以外の全ての既存株主に対して、割安価格で買い増しする権利を与えておく
・フリップオーバー・ポイズン・ピル(flip-over poison pill):買収後に買収会社を割安価格で買い付ける権利を与える

日本ではかつては新株予約権付株式は認められていなかったので、信託型ライツプランが最も幅広く用いられていた。
2006年5月1日施行の新会社法の下で、取得請求権及び取得条項の取得対価として新株予約権をつける事が可能となり、事実上の新株予約権付株式の発行が可能となった。

ポイズン・ピルとライツプランは同義ではないが、日本ではほぼ互換的に用いられる。

日本国内においては、2005年にライブドアのニッポン放送の買収を防ぐために用いられた事例などがある。

ホワイトナイト

ホワイトナイトとは日本語で「白馬の騎士」の意。

敵対的な買収を仕掛けられた会社に対し、友好的な買収又は合併により敵対的買収を回避するパートナーを指す。
これは買収防衛策の一つで、白馬に乗った騎士が企業を助けるといったイメージからきている。

敵対的買収者が現れた後、その買収者よりも高い価格でTOBをかける(カウンターTOB)、
もしくは友好的な相手に行う第三者割当増資や新株予約権の付与をすることなどが考えられる。

日本では下記のような事例がある。
2005年のライブドアのニッポン放送買収の事例では、当時SBIホールディングスの北尾吉孝氏がフジテレビ側のホワイトナイトとして名乗りをあげ、貸し株というスキームでフジテレビ側を救済した。
2007年には、日清食品が明星食品を、米投資ファンドのスティール・パートナーズの敵対的TOBの提案を上回る価格で買収した。

反対に敵対的買収を仕掛ける企業を「ブラック・ナイト」と称することもある。

遺言

遺言とは、一般的には、形式や内容にかかわらず広く故人が自らの死後のために遺した言葉や文章のことで、「ゆいごん」と読まれることが多い。

法律上の遺言は、民法960条で規定され、死後の法律関係の最終意思とみなされ、一定の方式に従っていないものは、不成立となる。
法律用語としては「いごん」と読まれることが多い。

通常の場合、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のいずれかの方式になる。

自筆証書遺言は、遺言者が自書した上で押印して作成するもの。こちらはいつでもどこでも書くことができ、費用もかからない。
しかし、書き方を間違えてしまうと遺言としての効力を発揮できない。また、紛失のリスクもある。相続に納得していない親族がいる場合、偽造される可能性もあり、保管時にも注意が必要である。

公正証書遺言は、遺言者が公証人に内容を伝えて、遺言書の作成と保管をしてもらうもの。自筆証書遺言と違って公証人が作成するため、遺言の効力が発揮できないという事態を避けられる。また、公証役場に保管されるため、盗難や偽造の心配もない。

秘密証書遺言は、遺言者が作成した遺言書を封印して、公証人に保管してもらうもの。公証役場に保管されるため、盗難や偽装の心配はない。内容のチェックは行われないため、不備で効力が発揮できない可能性がある。

事業承継などの対策としての遺言書作成は、公正証書遺言が推奨されることが多い。

エスクロー

エスクローとは、取引の際に買い手と売り手の間に第三者(エスクロー業者)を仲介させることで、取引の安全性を確保するサービス。日本語では、第三者預託と訳される。

昔から企業間では利用されていたが、ネットオークションなど相手の信頼性を確認することが難しい個人間取引の広がりにともない、利用が広がった。
金銭取引以外では、ソフトウェアのソースコードや技術情報についても第三者に預けておく、ソフトウェアエスクローもある。預けておくことによって、預け主が倒産した場合などでも、その設計図やソースコードを確保できるなどの用途にも使われる。

M&Aにおいては、買主がエスクロー業者に代金を入金し、その旨をエスクロー業者が売り主に通知。
売り主は株式等をエスクロー業者に預け、条件成就の後、エスクロー業者は両社にそれぞれ代金と株式等を交付する。代金を第三者に預けておくことによって、契約義務違反があった場合の損害賠償額の確保や、クロージング後に価格が変動した場合の対応策として使われている。

買戻条項

買戻条項とは、M&Aにおいては、主に株式譲渡契約における付帯条項として用いられる条項である。

一定の条件を元に譲渡した株式を買い戻す権利を付与する条項を言う。ただし、実態としては経営権が移転し、権利関係が複雑となるため、クロージング後の解除又は買戻の特約が付されることは稀である。

ベンチャー企業がベンチャーキャピタルから投資を受ける際、投資先ベンチャー企業が株式公開できなくなった場合等に、当該ベンチャー企業またはその経営者が、ファンドの保有する株式を買い戻す旨の条項を付する、といった形で使われる。
ただし、実態としては上場が絶望的となった企業は買い戻し義務を履行する能力に乏しいケースが多く、有名無実という見解もある。

不動産売買契約の場合には民法579条以下に規定があるが、不動産売買以外の場合にも買戻特約を付することができ、当事者間では有効である。

M&A取引においては、経営権が移転し、権利関係が複雑となるため、経営権の移転完了後の解除又は買戻の特約が付されることはほとんど無い。

株主間協定

株主間協定とは、株主間においてある事項について取り決めを行うこと、あるいはその内容をいう。

M&Aの場面において、株式譲渡や第三者割当増資の結果として、限定された複数の株主により会社が運営される場合、複数の株主間で被支配会社の運営方法やルール等を定めた株主間協定が締結されることがある。

株主間協定で定められる一般的な項目には下記の様なものがある。

■株式に関して
譲渡を制限や売却方法や価格、新株発行の制限など
■会社運営に関して
株主総会での議決権や、取締役の選任、取締役会の決議事項に関する取り決めなど
■その他
各株主間での意見相違で、決議がなされない場合の決着方法や競合禁止条項、契約解除条項など

交渉過程で合意に至った数々の事項は、株主間協定として残すことはM&A成功に欠かせないといえる。

基本合意書

基本合意書とは、LOI(Letter Of Intent)とも言われ、譲渡企業、譲受企業双方の契約の意思を確認するための文書を指す。条件等の詳細が書かれたものから、大まかなものまで内容はさまざまである。

主な内容としては、基本合意書を締結した時点で想定している下記項目が記載される。

  • M&Aの手法
  • 対象・対価・役職員の処遇などの基本的な取引条件
  • 支払いのタイミングやデューデリジェンスの期間などに関するスケジュール
  • デューデリジェンスに関する協力義務
  • 独占交渉権
  • 秘密保持義務
  • 費用負担
  • 裁判管轄
  • 準拠法

独占交渉権や秘密保持等の取引の協議・交渉の枠組みにかかわる規定を除いて法的拘束力を持たせない(ノンバインディング)のが一般的である。
法的拘束力がないとはいえ、後日、最終契約書における基礎となるものであるため、その後の交渉を事実上拘束するということには注意が必要となる。

基本合意契約は、譲渡企業と買い手候補企業の両社にとって、成約に向けての大きな区切りであり、このプロセスを経て、買収監査など、より具体的な作業に入ることになる。

競業避止義務

競業避止義務とは、M&A後に売主が対象会社と競業するような事業行為を行い、買主に損失を与えることを避けるために、売主が負う競業禁止の義務のこと。

M&Aにおける売主が、譲渡後直ちに同様の事業を開始してしまうと、買主がM&Aの目的を果たせなくなるため、M&Aにおける契約書では売主に対して一定期間・範囲の競業避止義務条項を盛り込むことが一般的である。

会社法上、競業避止義務が課されるのは事業譲渡の場合だけであるが、当事者間の特約により株式取得や合併などでも、競業避止義務が課されることがある。
事業譲渡の場合には会社法21条に明文規定があり、事業を譲渡した会社は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならないとされている。

しかし、事業譲渡の場合でも、当事者間の特約によって、その内容の拡大、縮小、排除が可能と解されている。

さらに特約がある場合には30年間、同一の事業を行うことができず(同2項)、不正競争の目的をもって同一の事業を行うことは期間に関係なく許されない(同3項)とされている。

業務提携

業務提携とは、資本の移動を伴うことなく、企業同士の技術や販路、ノウハウ等を相互で提供しあうことにより、相互に利益をもたらす関係構築を目指す提携のことをいう。

業務提携の種類としては下記の様なものがある。

  • 生産、製造の一部を委託する生産提携
  • 販売ルートや販売ノウハウを持っている企業に販売を委託する販売提携
  • 企業が共同で技術開発を行う、または既存の技術を相互に供与する技術提携

より強固な提携を意図する場合には、業務提携と資本提携を同時に行い「資本業務提携」とする場合もある。資本提携は、当事者となる企業の一方が、他方の企業の株式を取得する、又は双方が互いの株式を取得することであるが、資本業務提携は、業務提携に加えて資本提携による株式の異動を伴うことで、業務提携を単独で行う場合よりも連携をより深めることができる。
なお、業務提携、資本提携、資本業務提携のいずれも法令での定義はない。

支配権を完全に取得するような買収では、対象会社が上場会社である場合、上場廃止になってしまのを避けるために、資本業務提携が行われることがある。

詐害行為

詐害行為とは、債務者が債権者を害することを知りながら、故意に自己の財産を減少させ、債権者が正当な弁済を受けられないようにする行為のこと。

破産処理においては下記のようなルールが存在する。
■債務者の財産は換金され債権者に配当される
■優先債権(税金、社会保険、労働債権など)を除き、配当は債権者に一律でなければならない
これらのルールに反することが詐害行為となる。

具体的には下記の行為が詐害行為に該当する。

  • 破産申立て直前に不動産などの財産を他者へ贈与したり、安価で売却したりする行為
  • 破産申立て直前に不動産などの財産に担保権を設定する行為
  • 破産申立て直前に特定の債権者への支払いや返済行為
  • 破産申立て時に認められている自由財産以上の現金や預金の隠蔽行為

債権者はこれを一定の場合に取り消すことができる(民法424条「詐害行為取消権」)ので、債権者に指摘され破産管財人に否認されれば返還しなければならなくなる。

【詐害行為取消権】
民法424条 ①債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
②前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

【詐害行為の取消しの効果】
民法425条 前条の規定による取消しは、すべての債権者の利益のためにその効力を生ずる。

シニアローン

シニアローンとは、従来からある通常貸付金のことで、返済の優先順位が高く、返済期間が短いローンをいう。劣後ローンの対義語にあたる。

貸し手側としては、他の債権よりも優先的に弁済が行われるため低リスクである。
万一、債務者からの返済が滞った場合、債権者は貸付に設定された担保や保証を使って回収を行うことになるが、シニアローンの債権者が劣後ローンより、優先的に回収することができる。

借り手側からすると、金利を抑えて調達することが出来るが、その分、審査が厳しいため、資金調達に時間を要したり、必ずしも希望の全額を調達できるとは限らない。

多くの場合は有担保の貸付となり、保証やコベナンツ(誓約条項)なども融資条件に入れられる為、相対的に最もリスクの低いものである。買収資金の調達額のなかで最も大きく、50%を超えることが通常で、高い場合には80%程度の比率を占めることもある。

譲渡承認取締役会

すべての株式に譲渡制限に関する定めのある会社を株式譲渡制限会社という。当該会社の株主が、誰かに株式を譲渡する場合には、取締役会、あるいは株主総会の許可を得なければ譲渡できない。

当該会社の株主が株式を売却する際、その会社が行う取締役会のことをいう。

この規定があれば、会社が望まない人物に自社の株式を持たせない様にすることが出来るが、会議の場で否決した場合は、会社で株式を買い取るか、会社で新たな買い手を探さなければならない。

株式譲渡制限会社にすることによって、会社法の中の中小規模企業向けの規定が適用され、下記のようなメリットが生まれる。

  • 役員の任期を10年まで延長可能となる。
  • 取締役会を設置しなくてもよく、取締役が1名以上いればよい。
  • 取締役・監査役の資格を「株主に限る」などと制限することが可能。
  • 相続による株式の分散や、会社にとって不都合な人物が相続により株式を取得することを防止できる。
  • 株主総会開催通知を原則開催日の1週間前、または条約によっては短縮することが可能となる。
  • 監査役の業務を会計監査に限定できる。

相続

相続とは、人が死亡したときにその人の権利・義務をも含めた包括的財産を、特定の人が引き継ぐことをいう。
亡くなった人を「被相続人」、財産を引き継ぐ人を「相続人」と呼ぶ。
被相続人の親族は次の順位で相続人となる(887条・889条)。
被相続人の子
被相続人の直系尊属
被相続人の兄弟姉妹
また、被相続人の配偶者は常に相続人となり、上記の順位で相続人となった者と同順位で相続人となる(890条)。

相続の方法には、主に次の3つがある。
■法定相続 民法で定められた人が定められた分だけもらう相続
■遺言による相続 被相続人が遺言書により相続の内容を決める相続
■分割協議による相続 相続人が全員で協議し、遺産の分割方法を決める相続

承継される包括的な財産を相続財産(遺産)という。

中小企業金融円滑化法

中小企業金融円滑化法とは、2009年に成立した「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」の通称。
現状において、ゾンビ企業が多く残存するきっかけとなった法案と言われている。

これにより、金融機関は中小企業からのリスケジュール等の金融支援に具体的な再生計画の提示等がなくても応じる必要性が生じた。

同法律は、平成25年3月31日までに限り延長されたが、それ以降は同法律の適用はなくなり、実質的には認定支援機関による再生計画の策定件数を増加させることにより補填する施策がとられている。

金融庁は、期限を迎えたが、引き続き関連省庁と連携し、以下を柱とした取組みを実行するとしている。

  • 金融機関による円滑な資金供給を促進する施策
  • 中小企業・小規模事業者に対する経営支援策
  • 個々の借り手への説明・周知等

提携仲介契約

提携仲介契約とは、M&AにおいてはM&Aのアドバイザーに対してM&Aに関する仲介業務を依頼する契約のこと。

M&Aは買い手にとっては自社を成長させ、売り手にとっては売却によって利益を得たり、後継者問題の解消などという目的があり、実際のM&Aの工程には様々な専門知識が必要となる。
交渉の開始から契約の締結までを効率的に行うため、アドバイザー業者と「提携仲介契約」を締結する。
この契約が結ばれた後、アドバイザー企業は売り手に対して個別の相談や資料の収集を行い、買い手に対してはノンネームと呼ばれる資料での提案や秘密保持契約の締結、具体的な資料の提出などを行う。

契約書には、業務範囲、報酬、有効期間、秘密保持、仲介者の義務・責任などが記載される。

特別決議

特別決議とは、株式会社の株主総会において、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権数の2/3以上を以って可決される決議をいう。
特別決議事項の代表的なものは、定款変更、取締役・監査役の解任、会社の解散・合併、事業譲渡、資本の減少等がある。

決議要件は、以下の順に厳しいものとなる。
普通決議<特殊普通決議<特別決議<特殊決議<株主全員の同意

会社法における特別決議を要する事項(特別決議事項)

  • 譲渡制限株式を会社が買取る際の買取事項の決定,指定買取人の指定(309条2項1号,140条2項・5項)
  • 株主との合意による自己株式の有償取得の場合の取得事項の決定(309条2項2号,156条1項)
  • 全部取得条項付種類株式の取得に関する決定(309条2項3号,171条1項)
  • 株式併合(309条2項4号,180条2項)
  • 募集株式の事項の決定(309条2項5号、199条2項)*新株予約権につき同様(309条2項6号)
  • 募集株式の事項の決定の委任(309条2項5号,200条第1項)*新株予約権につき同様(309条2項6号)
  • 株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合(309条2項5号、202条3項4号)*新株予約権につき同様(309条2項6号)
  • 募集株式の割当て(309条2項5号,204条2項)*新株予約権につき同様(309条2項6号)
  • 累積投票により選任された取締役の解任(309条2項7号)
  • 監査役の解任(309条2項7号)
  • 役員等の会社に対する損害賠償責任の一部免除(8号,425条1項)
  • 資本金の額の減少(309条2項9号,447条1項)
  • 定款の変更(309条2項11号、466条)
  • 事業の全部の譲渡(309条2項11号,467条1項1号)
  • 事業の重要な一部の譲渡(309条2項11号,467条1項2号)
  • 事業の全部の譲受け(309条2項11号,467条1項3号)
  • 事業の全部の賃貸(309条2項11号,467条1項4号)
  • 事後設立(309条2項11号,467条1項5号)
  • 解散((309条2項11号,第471条)
  • 解散した会社の継続(309条2項11号,473条)
  • 会社法第5編(組織変更,合併,会社分割,株式交換及び株式移転)の規定により総会決議を要する場合(309条2項12号)
  • 消滅株式会社等(吸収合併消滅株式会社,吸収分割株式会社及び株式交換完全子会社)の吸収合併契約等の承認等(783条)
  • 存続株式会社等(吸収合併存続株式会社,吸収分割承継株式会社又は株式交換完全親会社)の吸収合併契約等の承認等(795条)
  • 消滅株式会社等(新設合併消滅株式会社,新設分割株式会社及び株式移転完全子会社)の新設合併契約等の承認(804条)
    注: 組織変更においては総株主の同意が必要(776条1項)

匿名組合

実務上はTK(ティーケイ)とも呼ばれる。
匿名組合とは、出資者が組合員となり事業者に資金を提供するという形態の組合であり、その営業より生じる利益の分配を受けることを約束する契約形態のとこをいう。
その法的性格は株式会社や任意組合への出資とは異なり、出資者は単に利益の配当を請求する権利を有するだけで、組合財産に対する持分はなく、損益又は資金のみが分配される。

出資者が陰に隠れて利益の分配にあずかるだけで、取引相手に対して名前が顕れないことから「匿名」と呼ばれる。

また、匿名組合は団体ではない。法的には営業者と匿名組合員の間の双務契約に過ぎず、法人格も有しない。

商法第535条の規定では、匿名組合員の出資は営業者の財産となり、匿名組合員は営業者の行為について第三者に対して権利及び義務を有しないとしている。
反面、匿名組合員が自己の氏名などを商号として使用することを営業者に許諾した場合には,その使用以後に生じた債務について、連帯責任を負う必要がある(商法第537条)。

ノンリコースローン

ノンリコースローン(非訴求型融資)とは、返済原資となる責任財産を限定したローンのことをいう。ノンリコースファイナンスともいう。また日本語で、責任財産限定型ローン、責任財産限定特約付ローン等と呼ぶこともある。

債権者の追求が債務者の人的責任に及ばないことから、ノンリコース(非遡及)と呼ばれる。企業やファンドが投資リスクを限定しつつ、大型の資金調達を実施することができる。

通常の融資では、担保を処分しても債務が残る場合、その後も返済の義務がある。それに対し「ノンリコースローン」は、特定の事業を対象にした融資となる。
借り手は責任財産からのキャッシュフローのみを返済原資とし、その範囲を超えての返済義務を負わない。原則として保証人を必要としない。

新規投資を行う企業は、100%子会社として新規投資のみを行うためのSPC(特別目的会社)を作り、銀行は当該SPCに融資をするという形を採る。当該投資が失敗に終わった場合でも、投資とは関係のない本業に影響を及ぼすことを、回避できる。

金利は、通常の融資より高めに設定されるため、金融機関にもメリットがある。

破綻懸念先

破綻懸念先は、破綻が懸念される債務者に対する金融機関の自己査定上の呼称。実務上「ハケ」と呼ばれることもある。

具体的には、経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者(金融機関等の支援継続中の債務者を含む)をいう。

金融機関は、金融庁の「金融検査マニュアル」に従って各取引先を5つの債務者区分(破綻先、実質破綻先、破綻懸念先、要注意先、正常先)に分類する。
破綻懸念先に格付けされると、新規の融資は困難になり、既存融資の早期回収や既存融資金利の上昇なども求めらる。
決算書上は、二期連続債務超過かつ融資の返済が三ヶ月以上延滞、もしくは融資の返済が六ヶ月以上延滞
のいずれかを満たす融資先は該当する恐れがある。

表明保証条項

表明保証条項は、M&Aの交渉において特に争点となりがちな条項である。

表明保証条項はM&Aの最終契約書に盛り込まれる条項であり、デュー・デリジェンス(買収監査)で判明した事実について譲渡側オーナーが買い手側に対して真実であると表明し、買い手側が知りえなかった事実で譲渡後に判明した瑕疵について一定期間保証をすること。

条項に反した場合は、損害賠償の対象となったり、契約解消となる場合がある。
買い手側にとってはこの条項があるおかげで安心してM&Aを進めることができるようになるが、その分売手としてはリスクをかかえることとなるため、M&Aの成立を目指す上ではバランス感が重要となる。

日本の民商法上では想定されておらず、表明保証条項の内容は最終的に、当事者間の交渉と調整によって決まる。
表明保証条項の内容は以下のようなものが一般的である。

■事前の調査で開示された情報に偽りがないこと
■財務諸表、会計帳簿に偽りがないこと
■買主に対して開示していない偶発債務(現在は債務ではないが、手形割引・裏書による償還義務、債務保証など、将来一定の条件下で債務になる可能性があるもの)が存在しないこと
■対象会社に、買主が把握していない訴訟の提起がないこと

ブリッジローン

ブリッジローンとは、調達に時間がかかる際に、一時的に当座の資金をつなぐための融資であり、つなぎ融資と呼ばれる。

資金調達の目途はたっているものの、調達するまでに時間がかかり、必要とする日に間に合わない場合に組む短期融資のことで、通常利用できる融資よりも金利が高めに設定されることが多い。

一般に、大型融資を受けるまでや、債権回収までといった一定の条件下で利用される。しかし例外的に、長期的に資金確保が困難なケースでも、金融市場の波乱要因になる場合や債務者が公的機能を担っている場合には、政府保証付きでブリッジローンが実行されることもある。
日本では2010年に経営破綻した日本航空に対して、国民生活へ影響が大きいとの理由で、政府保証付きのつなぎ融資が実行された例がある。

M&Aにおいては、ファンドが手許現預金が厚い会社を買収する際には、事業価値以外に多額の資金が必要になるため、SPC(特別目的会社)と共に利用することが多い。
買収完了後、つまりSPCと買収対象会社の合併後に返済する。

ブリッジファイナンスともいう。

プロラタ方式

プロラタ方式とは、会社が複数の金融機関から借入をしている際に、借入金額に応じて比例的に返済額を決めて、返済することをいう。プロラタは、「比例配分できる」という意味のProratable(プロラタブル)の略称。
事業再生段階で、弁済についてリスケジュールを実行する際に、複数の金融機関の間で不公平が生じないように、このような方式がとられる。

具体的には、複数の金融機関から借り入れを行っている場合に、会社はプロラタ方式を利用し均等に返済額を決めて返済することによって、金融機関の間において不平等を発生せずに均等に返済することが可能となる。このように明確な返済方式をとれば、毎月きちんと返済ができるため、金融機関からの信頼を損なわないで済むというメリットがある。

例として、毎月総額200万円をプロラタ方式で返済する場合は下記の様になる。

  • 3社でそれぞれ10000万円、6000万円、4000万円の債権を有するとすると、債権総額2億円となりその割合は各々50%、30%、20%となる。
  • 月返済額200万円を上記割合で按分するとそれぞれ100万円、60万円、40万円を毎月返済することとなる。

劣後ローン

劣後ローンとは、他の債権よりも支払順位が劣る融資のこと。

貸し手側からすると、通常の再建より返済順位が低い為、リスクが高い。万が一融資先が解散したり破綻した際、負債を全て支払った後に資産が残っていれば債務が弁済されるが、債務超過で会社更生法などが適用され場合は、まず返済される見込みがない。そのリスクの高さゆえに、通常債権より金利は高く設定される。

借り手側にとっては完済期限が伸び、期限一括返済になることで短期的な負担を減らすことが出来る。

日本では1990年から解禁された。株式(特に無議決権優先株)に近い性質を持っている為、金融機関では自己資本規制比率上の自己資本の一部とみなされる(企業会計上は負債になる)。

このことから、バブル崩壊後の金融危機や経営難の際に、多くの銀行や生命保険会社などで用いられた。
また銀行への公的資金投入の際、一部でこの方式での資本注入が行われた。

ADR

ADRとは、Alternative Dispute Resolutionの略称で、裁判外紛争解決手続のこと。
民事上の紛争の解決を、裁判ではなく公正な第三者による紛争解決の手段で、裁判所の民事調停や民間団体の手助けを受けて紛争の解決を図ることをいう。

現行の裁判制度を利用した場合、解決までに長い期間を要し、費用も高額になる可能性がある。このため、2004年に「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(通称ADR法)が制定され、2007年4月から実施された。

ADRでは民間事業者が和解の仲介を行う場合、適正を審査し、法務大臣がADR機関として認証する制度が設けられた。
ADR機関には、司法機関の簡易裁判所、家庭裁判所や行政機関の公害等調整委員会をはじめ、国民生活センター紛争解決委員会や民間機関の交通事故紛争処理センター、生命保険協会などがある。
ADR機関に紛争の一方の当事者から申し入った際に、紛争の相手が手続に応じることを確認したのち、実際に手続を任される第三者が決定される。

また、ADRの種類には斡旋、調停、仲裁があり、それぞれ下記の様な特徴がある。

■斡旋:第三者を介した当事者同士の話し合いによって解決を目ざす
■調停:第三者が和解案を示し、当事者同士の互譲を促しながら円満な解決に導く
■仲裁:争いの間に入り、仲裁案を示して解決すること。仲裁は強制力をもつため、双方が合意すると、同じ紛争問題で裁判を起こすことは出来なくなる。

DDS

DDSとは、Debt Debt Swap(デット・デット・スワップ)の略で、既存の負債(Debt)を別の負債(Debt)に転換(Swap)すること。中小企業の企業再生、特に債務超過に陥っている企業再生の手法として活用される。

金融機関が既存の貸付金を、支払い順位が劣る劣後ローンに変更することを指す場合が多い。例えば、MA銀行に最初にローンを返済しなければならないとして、このDDSを行うことになり、MA銀行への返済は後回しにすることが可能になる(劣後)。

債務者側からすると、返済義務を負うものの、返済猶予ができることにより負担が軽減し、財務状態の改善や信用力を高め、再建の可能性を高めることが出来る。

しかし、金融機関からDDSを受ける場合、特定の財務指標を一定数値以上に維持しなければ、優遇措置が取り消されるなどの特約が課される可能性がある。

DIP

DIPとは、Debtor in Possession(デター・イン・ポゼッション)の略で、占有を継続する債務者の意。旧経営陣が残って再建を行っている企業を指す。

具体的には、民事再生法等の倒産手続きを行いながらも、旧経営陣に経営が任されているような企業である。このような企業に短期融資を行うことを、DIPファイナンスという。

DIPファイナンスは、再建企業に安定的に資金を供給することで、対外的な信用力を向上させ、再建計画の円滑な履行を可能とするのが目的。
基本的には、再建企業の事業から生まれる利益などから返済を受けることを前提とする。そのため、財務状況、損益状況、資金繰り、再生計画等についての事前調査や、事後のモニタリングが必要となる。

日本では、国によるDIPファイナンスへのサポートがない為、不良債権を持つリスクを負いたくない金融機関は融資に消極的であった。そのため、取り扱いは主に日本政策投資銀行など政府系金融機関が中心となっていたが、近年、民間金融機関の中にも取り組みがみられる。

益金不算入

益金不算入とは、法人税申告書の税務調査の際、企業会計上は収益として計上するが、税法上は益金の額として計上しないこと。「益金不算入制度」ともいう。
法人を介して事業を行った場合に相対的に税負担が重くなることを回避するための措置で、受取配当等や法人税等の還付金、資産の評価益などが挙げられる。

益金とは、資本等の取引によるものを除いた法人の資産を増加させた収益の額を指す。

一般的に、法人税の課税所得金額は下記のように算出される。
企業会計上の利益(当期純利益)+加算項目(益金算入、損金不算入)-減算項目(益金不算入、損金算入)

これにより、減算項目に「益金不算入」がある場合、会計上の利益よりも所得が小さくなり、損益計算書の利益を元に計算される法人税等の額よりも実際の納税額が減少する結果となる。

2015年度税制改正において、益金不算入の対象となる株式等の区分が、従来の3区分から4区分に変更となり、益金不算入割合及び負債利子控除対象が見直された。
2015年4月1日以後に開始する事業年度から適用されている。

株式譲渡所得

株式譲渡所得とは、株式を譲渡することによって得られた所得のこと。

株式譲渡価格から、株式取得価格や仲介会社への手数料など売却のために直接要した費用を差し引いた金額のことを指す。

企業の合併や買収が行われる際、売却側の企業が、自社の持ち株を売却するということは、会社売却したことと同じ意味を持つ為。買収側が対象の企業の持ち株や、株主から株を買収することによって、買収が成立。子会社化する方法として用いられる。
そのため、会社売却した企業や株を売却した株主は、売却した時の利益である株式譲渡所得を申告する必要がある。また、株式譲渡所得には一定の税率が課せられているため、その分の納税義務が発生する。

偶発債務

偶発債務とは、現時点では発生していない債務だが、将来一定の条件を満たした場合に債務になる可能性のある債務の総称である。

偶発的に発生するため、その負債総額を正確には予測できないという特徴がある。
具体例としては、債務保証や係争中の損害賠償債務、先物売買契約、手形割引、裏書譲渡などが挙げられる。

保証の時点では、債務となる可能性は低いと判断され、債務として財務諸表の貸借対照表に計上はしないが、その内容を貸借対照表に注記をすることで関係者に情報提供を行う必要がある。
発生の可能性が高まった場合は、引当金として貸借対照表等に計上し、債務として確定した時点で負債に計上される。

M&A成立後に発覚した場合は企業価値の低下につながるため、買い手側はデューデリジェンス(買収監査)の段階で偶発債務を見つける必要がある。
偶発債務は潜在的なリスクで有るため、いつ出てきても対応できるようリスク管理が重要となる。

源泉徴収

源泉徴収とは、給与・利子・配当などの所得を支払う者(源泉徴収義務者)が、給与を支払う際に所定の方法に基づき所得税額を計算し、支払金額から所得税や社会保障費などを差し引いて国に納付すること。
「源泉徴収制度」とも呼ばれる。

給与所得の他、退職所得、株主などの配当所得、原稿料、著作権使用料などの雑所得も徴収の対象になる。
M&Aにおいては、自己株買いなどでみなし配当が生じた時にも必要になるため注意が必要である。
いずれの場合も、徴収漏れがあると加算税など新たな課税対象となる。

日本では1940年からドイツに倣って実施された制度で、この源泉徴収によって徴収された所得税の差額調整に関しては、サラリーマンや公務員などは年末調整で行われる。自営業者を対象としたものは確定申告などがある。
なお、2013年から2037年は、所得税の源泉徴収にあわせて復興特別所得税も徴収される。

組織再編税制

組織再編税制とは、合併、会社分割、現物出資、事後設立、株式交換、株式移転などの組織再編行為に関する税務体系のこと。

会社が組織再編成を行った場合に、実質的に経済実態に変更がなく、移転した資産・負債は原則として時価で譲渡したものとして考えられるので、譲渡損益を計上する。この譲渡損益を繰り延べることが出来る制度のことを、組織再編税制という。

適格組織再編の適格要件を満たす場合にのみ適用される特例である。
主な適格要件としては、移転資産に対する法人支配が、再編成後も継続していることが求められる他、対価要件、事業関連性要件、事業規模要件、経営画策要件などを満たす必要がある。
合併、分割など各組織再編の形式により異なるため、ケース毎に確認が必要。

「組織再編」とは、一般的に会社の組織と形態を変更する会社法上の法律行為を意味する。
合併、会社分割、株式交換、株式移転があり、吸収型の組織再編である、吸収合併、吸収分割、株式交換と新会社設立を伴う新設型の組織再編である、新設合併、新設分割、株式移転とに分類出来る。
会社が他の会社に事業を譲渡する事業譲渡や株式会社から持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)への変更、またはその逆を行う組織変更は、一般的にこの組織再編に含まれない。

相続税評価

相続税評価とは、国税庁の定める「財産評価基本通達」に基づいた評価額をいい、相続税を計算する際に必要となる。

土地や建物などの不動産や預貯金、有価証券、生命保険、死亡退職金などの相続財産が相続税の対象となる。

単独相続、分割相続する時に用いられ、特に分割相続の協議の場においては、相続財産の評価や相続税評価を明確にすることで、協議を円満に進めることが出来る。

会社が正当な継承者によって相続された場合には、この相続税評価により支払う税金額が決まるが、M&Aで合併や会社売却した場合、買収された会社は、買収により得た譲渡所得から、支払う税金の額が決まる。国の定めた一定の税率がそれぞれに課せられる。

また、買収する側は、その対価に対して消費税が課税される場合がある。事業譲渡などを含む課税資産の譲渡の場合、対価に消費税分上乗せした金額を支払う必要が生じ、また、その取引の金額が適正な価格でないとみなされた場合、寄付金課税が生じることもある。

なお、2015年に相続税が改正され、土地を相続する場合の多くが相続税の対象となった。

退職所得

退職所得とは、退職に伴って勤務先から支払われる所得をいう。

M&A成立時には、譲渡オーナーが代表取締役を退任することが多いため、M&Aの対価を株式譲渡代金と役員退職金との組合せで支払われることが多い。

株式譲渡所得とは、株式を譲渡することによって得られた所得を言い、次の式で算出する。
株式譲渡所得=株式譲渡価格-株式取得価格-仲介会社への手数料等直接要した費用

M&Aの対価を株式譲渡代金と退職金を組み合わせることで、全額を株式譲渡代金として受け取るよりも、オーナーは後の税金支払いを抑えられるケースがある。
具体的には、退職所得は分離課税となっており、また退職金の金額から退職所得控除額を引いたうえで、さらにその金額を2分の1にしてもらえる軽減措置があり、税金が安くなるように考慮されている為である。

適格組織再編

適格組織再編とは、適格要件を満たす組織再編(合併、会社分割、現物出資、株式交換、株式移転、現物分配等)の総称のこと。
税務上、資産・負債の評価は帳簿価額のまま、時価との差額である譲渡損益については、所有が継続しているため、繰り延べることができる。

適格と認められる為には、移転資産に対する法人支配が、再編成後も継続していることが求められる他、対価要件、事業関連性要件、事業規模要件、経営画策要件などを満たす必要がある。
合併、分割など各組織再編の形式により異なるため、ケース毎に詳細な確認が必要である。
適格要件を満たさない組織再編を「非適格組織再編」という。

組織再編を行う上で適格・非適格の判断を誤ると、多額の損益が発生してしまうことが想定される為、税理士等の専門家に十分な確認、相談が必要となる。

配当所得

配当所得とは、所得税における課税所得の区分の一つで、株主が法人から受ける配当に係る所得をいう。
厳密には、下記の配当に係る所得が含まれる。

  • 法人から受ける剰余金の配当や分配、利益の配当
  • 公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外の投資信託の収益の分配
  • 投資信託及び特定目的信託の収益の分配

配当所得は、利子所得、不動産所得と同様、資産性所得の一つである。

配当所得の金額は、収入金額(源泉徴収される前の金額)から株式などを取得するための借入金の利子を差し引いたもので、会社清算に伴う株主への配当もこれに該当する。

原則として、配当所得は確定申告の対象だが、「確定申告不要制度」を選択も可能。

また、一定税率で分離課税される譲渡所得と異なり、原則は累進税率による総合課税となる。上場株式等の配当所得の場合は、総合課税の他、確定申告する上場株式等の配当所得の全額について行う申告分離課税を選択可能である。

非適格組織再編

非適格組織再編とは、適格要件を満たさない組織再編(合併、会社分割、現物出資、株式交換、株式移転、現物分配等)の総称のこと。
税務上、資産・負債の評価は時価で行い、譲渡損益として認識することができる。

適格に該当するための要件は、合併、分割など各組織再編の形式により異なるため、ケース毎に確認が必要となるが、一定の要件に満たした場合適格とされ、資産・負債の評価は帳簿価額のままであり、時価との差額である譲渡損益については繰り延べられる。

非適格の場合、資産・負債を時価で移転するということは、通常移転前後で当該資産・負債を支配している者は異なるため、移転の際に清算(売却)し譲渡損益として課税の対象となる。

組織再編を行う上で適格・非適格の判断を誤ると、多額の損益が発生してしまうことが想定される為、税理士等の専門家に十分な確認、相談が必要となる。

非適格合併、非適格分割型分割では「みなし配当」が発生することもある。

分離課税

分離課税とは、一定の所得を他の種類の所得と合算せず、分離して課税することをいう。
「分離課税制度」とも呼ばれる。
個人が株式、土地、建物を譲渡した場合や退職した場合などの所得を計算する際に適用する。

現在日本の所得税は、原則、総合課税として、各種の所得金額を合計し総所得金額を求め、累進税率に基づき(課税方式で)税額を計算して、確定申告によりその税金を納める。しかし例外的に、分離課税によって、他の所得とは合算せず、その所得単独で税額を分離して計算するものもある。

分離課税は、特定の所得について、他の所得と総合すれば税負担が過重となったり、一定の政策目的を促進したりするなど、所得の性質等の違いを考慮したものとなっている。

分離課税の方式は下記の二種類がある。

  • 源泉分離課税:他の所得に関係なく一律で源泉徴収され、課税関係が終了する。確定申告の対象にはならない点が、申告分離課税と異なる。
    例)預貯金や一般公社債の利子など。
  • 申告分離課税:他の所得と合算せず分離して税額を計算し、確定申告により納付する。確定申告を行う点が、源泉分離課税と異なる。
    例)土地・建物等の譲渡による譲渡所得や株式の譲渡所得、山林所得など。

みなし配当

みなし配当とは、会計法上の配当ではなくても、税法上配当であるとみなされ課税関係が生じるものをいう。「みなす配当」とも呼ばれる。
未上場会社の自己株式の取得減資、利益積立金の資本組み入れや組織再編等により株主が金銭等の交付を受けた場合等に発生することがある。

一定の条件に該当すると、会社の内部に留保されていた利益の払い戻しと考えられる部分について、正規の配当金と同様にみなされて、配当金としての課税が行われることとなる。

みなし配当の規定が適用されるのは、一定の事由により法人が株式等の売却を、その発行した法人に売却した場合に限られる。
特に合併によって株式の売却がおこなわれた場合に多いのが特徴。
但し全ての合併において、みなし配当の規定が適用されるものでは無く、適格合併を行った場合は金銭の交付が行われないため適用されない。また、分割型分割を原因とした株式の売却が行われた場合も、適格分割型分割を行った場合はみなし配当は適用されない。

また、全ての法人から受けるものに対して適用されるものでは無く、公益法人等から受け取る配当や人格のない社団等から受ける配当についてはみなし配当の適用規定は無い。

累進税率

累進税率とは、累進税を課する際の税率のこと。累進税は課税標準の増加に伴って高い税率を課する税のことで、これには二種類ある。

  • 単純累進税率:課税標準が一定額以上となった場合、その全体に対して、より高い税率を適用するもの。
  • 超過累進税率:課税標準が一定額以上となった場合、その超過金額に対してのみ、より高い税率を適用する

例としては、所得税、相続税、贈与税などは、「超過累進税率」が採用され、高額所得者ほど、より高い税率で税が課されている。

また、消費税や固定資産税、法人税などは、課税標準の大小に関係なく一定の比率を適用するもので、これらは累進ではなく、比例税率となっている。

アーニング・マルチプル・レシオ

アーニング・マルチプル・レシオとは、直訳すると「収益倍数比率」の意。

同じ業界でM&Aの取引事例が多数存在する場合、過去実施されたM&Aの取引価格(買収価格)と、買収された企業の税引き後の利益を検証化して比率化したもの。過去の取引事例から判断する、「業界の相場」ともいえる。

M&Aの検討にあたっては、買収対象企業とその企業価値の評価の算定には、様々な評価方法を用いる。アーニング・マルチプル・レシオもその一つで、特に「マーケットアプローチ」に属する評価方法である。

インカムアプローチ

インカムアプローチとは、企業買収における主な企業価値算定手法のひとつで、収益価値を基準とするアプローチのこと。
対象企業の将来の利益予想やキャッシュ・フロー予想に基づいて企業価値を算定する。M&Aの売却企業の企業価値算定の際によく用いられている。
代表的なものとして、「DCF法(割引キャッシュフロー法)」や「収益還元法」などがある。

収益の将来獲得能力や固有の性質を評価結果に反映させる点で理論的な方法ではあるが、事業計画などの将来的な情報について恣意性を完全に排除することは難しく、客観性が問題となる。

またインカムアプローチは会社の継続を前提とした企業価値評価である為、企業の継続性に疑義がある場合には慎重な適用が求められる。

企業価値算定手法には、インカムアプローチを含め、一般的に以下の3つのタイプがある。
■コストアプローチ:純資産価値を基準とするアプローチ
簿価純資産法、時価純資産法など
■マーケットアプローチ:類似業種や同規模企業との比較に観点を置いたアプローチ
類似会社法、市場株価法など
■インカムアプローチ:当該会社の収益性からアプローチす
DCF法(割引キャッシュフロー法)、収益還元法など

それぞれの方式にメリット・デメリットの両方がある為、実際のM&Aの現場では一つのやり方だけで企業価値を測ることはせず、各方式を組み合わせて算出することが多い。

営業権

営業権は、企業が有するノウハウや立地、顧客への知名度や品質、ブランドイメージなど、代替できない無形の価値を意味する。会社法施行後は「のれん(暖簾)」と呼ばれる。

のれんはその性質上、原則として資産計上されず、貸借対照表には顕在化しない。しかし、M&Aで会社を売却する場合には、例外的に営業権勘定を用いて資産計上をすることが可能となる。
のれんの価格は、売却企業の時価評価純資産と買収価額との差額がそれにあたる。例えば、1億5,000万円で企業が買収された場合、その売却企業の時価評価純資産が1億円であるなら、その差額の5,000万円がのれんの価格・のれん代となる。
M&Aにおいて、この「のれん代」の評価が譲渡価格を左右する重要な項目となり得る。

2006年度より、のれんの一括償却は原則禁止されており、のれんの取得後20年以内に規則的に償却し、各期の償却額は販売費及び一般管理費として計上する。

期待収益

期待収益とは、投資家が投下資本に対して運用から得られると期待する収益のことで、投下資本に期待収益率を乗じて求める。
企業の目的は利潤の最大化であり、投資案件(プロジェクト)の費用(コスト)が期待収益より小さければ、利益が得られとして、投資を行うことになる。

また、期待収益率とは、投資家がある資産について、将来にわたる運用から得られると期待できるリターンの平均値をいう。「期待リターン」、「要求収益率」とも呼ばれ、投資する資金に対して、どれくらいの収益が見込めるかを示したものとなる。
期待収益率は、M&Aにおいて、買い手が買収先を選ぶ目安となる一つの指標だが、これだけで正しい評価を導き出せるわけではない為、他の様々な評価方法とあわせて、多角的に比較・分析を行うことが重要となる。

コストアプローチ

コストアプローチとは、企業買収における主たる企業価値算定手法のひとつで、純資産価値を基準とした評価手法。

コストアプローチには、帳簿価額に基づいた「簿価純資産法」と時価を用いる「修正純資産法(時価純資産法)」がある。

■簿価純資産法は、「帳簿資産合計」を企業価値とするもの。
含み益や含み損が存在する場合は実態からかけ離れた価格となる可能性があり、一般的にはほとんど使用されない。
■時価純資産法では、時価資産合計から買掛金や支払手形などの営業債務を差し引いたものを企業価値とし、そこから有利子負債を差し引いたものを株式価値とする。

M&Aの世界では、企業の持つすべての資産と負債を時価で再度評価しなおすことになる。

特徴として、帳簿上のデータに基づくため客観性は期待できるが、一時点での純資産に基づく評価であることや、のれんなど無形資産が適正に計上されていない場合には、将来の収益能力の反映や市場での取引環境の反映は難しい。
したがって、評価対象において、こうした無形資産や知的財産等、貸借対照表に計上されない企業価値が源泉の大半である場合、超過収益力などの価値評価を反映させやすいインカムアプローチなどの評価手法を検討すべきと考えられる。
中小企業の企業価値の算定によく使われる簡便的な評価方法として 、コストアプローチを応用した「簿価純資産or時価純資産額+ 営業権」という方法で算定することがる。

企業価値算定手法には、一般的に以下の3つのタイプがあり、それぞれメリット、デメリットを有する。

■コストアプローチ(純資産価値を基準とするアプローチ)
簿価純資産法、時価純資産法など
■マーケットアプローチ(類似業種や同規模企業との比較に観点を置いたアプローチ)
類似会社法、市場株価法など
■インカムアプローチ(当該会社の収益性からアプローチ)
DCF法(割引キャッシュフロー法)、収益還元法など

サルベージ・レシオ

サルベージ・レシオとは、買収価格に比べて清算価値が何倍かを示した数値。

下記の様な計算式となる。
サルベージ・レシオ=(資産時価+ブランド価値ー有利子負債ーリストラ費用ー清算所得税)/株式時価総額

上記の通り、単純に資産の時価を見るだけでなく、「ブランド価値」というバランスシート上には出てこない無形資産も企業の価値として評価する。
また、借金がある場合には有利子負債として、リストラなどによる退職給付債務がある場合にはそれも控除して、本当に清算したらその企業にいくらの価値があるかを評価し、正味の解散価値(純資産)を算出する。

一般的に、サルベージ・レシオの高い企業は、資産の効率性を高める余地があるとみなされる。

時価純資産

時価純資産とは、貸借対照表にのっている簿価の総資産をすべて時価で評価し合計し、同じく時価評価した負債を差し引いたものが時価純資産価額となる。実態純資産ともいう。
中堅中小企業のM&Aにおいては、企業評価の一つの大きな目安とされることが多い。

時価純資産法は、この時価純資産額を基準として企業価値を算定する、企業評価法のコストアプローチの一つである。
コストアプローチによる企業価値の評価法には「簿価資産方式」もあるが、会社の固定資産や有価証券などに含み損・含み益がある場合には、簿価資産方式ではなく時価純資産方式を採用する。

企業価値算定手法には、一般的に以下の3つのタイプがあり、それぞれメリット、デメリットを有する。

  • コストアプローチ:純資産価値を基準とするアプローチ
    簿価純資産法、時価純資産法など
  • マーケットアプローチ(類似業種や同規模企業との比較に観点を置いたアプローチ)
    類似会社法、市場株価法など
  • インカムアプローチ(当該会社の収益性からアプローチ)
    DCF法(割引キャッシュフロー法)、収益還元法など

事業価値

事業価値とは、会社が生み出す将来のフリーキャッシュフローを割引いた現在価値のことで、事業そのものの価値を指す。英語でEnterprise Valueと表記され、その略語としてEVともいう。

計算方法には、DCF法などがある。
DCFはDiscount Cash Flowの略で、「割引キャッシュフロー法」もいわれる。
DCF法は、事業が生み出す期待キャッシュフロー全体を割引率で割り引いて企業価値を算出する方法である。

これに対し、現金や資金運用として保有している株や投資信託などの金融商品など、企業の事業活動とは関係のない資産から生み出される価値の合計を非事業価値という。

実査

実査とは、帳簿上記載のある資産の数量や金額と、実際の数量や金額とを確かめる手続きをいう。決算日を基準に、決算日後のなるべく早い時期に監査人が会社を訪問して実施する。監査人が必要だと判断した場合には予告なく突然実査が行われることもある。

監査人が資産の実在性を確かめるための作業で、株券や受取手形、現金、預金通帳などを、並べて一枚一枚数を数える。隠蔽などが行われぬよう、全資産を一度に実査することが推奨されている。

現金、預金通帳、証書、受取手形、株券などの有価証券、有形固定資産、ゴルフ会員権などの会員権、絵画、貴金属 などが対象となる。

「棚卸(たなおろし)」では、帳簿上の在庫と実際に残っている在庫が照合されるが、棚卸でチェックするのは在庫のみであり、それ以外の資産のチェックは実査で行われる。

シナジー効果

シナジー効果とは、M&Aや提携によって創出される相乗効果のことをいう。

異なる強みが結びつくことによる価値創造や経営資源の合理的配分によって、利益創出効果が期待できる。
企業が合併、買収、あるいは事業提携を検討する際、求められる目的として、シナジー効果を挙げることが多い。これは、シナジー効果により、企業価値の向上や企業の競争力の向上を図れると考えられているからである。

2006年3月にUSENの宇野康秀社長個人がライブドア株式1億3,374万株を94億9,554万円で買収した際にも「シナジー効果を出していきたい」と発言している。

純資産法

純資産法とは、企業価値算定手法のひとつである。
対象会社の貸借対照表に計上されている資産・負債の差額として算出される純資産額を基礎にして株式評価する方法をいう。

純資産法には、帳簿価額に基づいた簿価純資産法と、時価を用いる修正純資産法がある。

■簿価純資産法は、「帳簿資産合計」を企業価値とするもの。
含み益や含み損が存在する場合は実態からかけ離れた価格となる可能性があり、一般的にはほとんど使用されない。
■時価純資産法では、時価資産合計から買掛金や支払手形などの営業債務を差し引いたものを企業価値とし、そこから有利子負債を差し引いたものを株式価値とする。

M&Aの世界では、企業の持つすべての資産と負債を時価で再度評価しなおすことになる。

企業価値算定手法には、一般的に以下の3つのタイプがあり、それぞれメリット、デメリットを有する。

■コストアプローチ(純資産価値を基準とするアプローチ)
簿価純資産法、時価純資産法など
■マーケットアプローチ(類似業種や同規模企業との比較に観点を置いたアプローチ)
類似会社法、市場株価法など
■インカムアプローチ(当該会社の収益性からアプローチ)
DCF法(割引キャッシュフロー法)、収益還元法など

正常収益

正常収益とは、各企業が事業そのものとして生み出す実態の利益のことをいう。

毎年決算を行う際に算出される利益全体から、その事業と関係のない損益や非経常的に発生する損益を差し引くことで算出される。

この金額は、大企業と中小企業では計算が若干異なる。
大企業などでは固定資産の売却損益や災害損失といった特別損益や退職金などの雑収益を差し引けば済むことが多いが、中小企業において保険料や役員報酬などで決算上の損益を調整している場合にはこれらの影響も除く必要がある。

正常収益は、企業全体の課税対象額を決定する際に必要であり、正確にできていない場合には、追徴課税の対象となる可能性もある。

立会い

M&Aにおける「立会い」とは、監査手続の一つであり、会社が実施する実地棚卸の現場に監査人が同席し、その実施状況を視察、あるいは一部について実際に監査人自身がカウント(サンプリングという)することによって、在庫数量が帳簿記載の数量との間にズレがないかを確かめる手続である。

単なる視察や、会社のたな卸後の抜取り検査だけでは必ずしも立会いとはいえない。これは、監査人が、実際に現場で作業を行っている様子を間近で確認し、その会社の棚卸のやり方が信用できるかどうかを確認する行為こそが、監査人として重要な監査証拠を入手するための手続と位置付けられているからである。
このように立会いは、実地棚卸計画の評価、棚卸の視察、質問、抜取り検査など総合したものである必要がある。

超過収益

超過収益とは、投資家が投下資本に対して期待する「期待収益」を上回る収益のこと。正常収益から期待収益を差し引いて計算されるのが一般的である。

また、企業が経営を続けていく過程で蓄積した、独自の優位的取引関係や従業員の質など、現時点において測定不能な潜在的な企業価値を、超過収益力という。
M&Aにおいては、超過収益力を加味した企業価値の測定が行われ、その評価額が算定されることになる。

データルーム

データルームとは、M&Aを実施するにあたって行うデューデリジェンス(買い手が買収対象企業について詳細に行う調査)の際、契約書・財務諸表・経営資源などの資料を関係当事者に対して開示する必要があるため、それらの資料をひとつにまとめておく部屋のこと指す。

対象となる会社・企業の会議室をはじめ、秘密保持の観点から組織外の会議室を借りて行われることがある。

又、実際の会議室を借りる代わりに、ハイレベルなセキュリティ環境が整ったバーチャルデータルームがクラウド上に設けられ、デューデリジェンス(買収監査)を実施できるサービスがある。こちらは、バーチャルデータルームとよばれる。

デュー・デリジェンス

デュー・デリジェンスとは、M&Aを実施するにあたり、買収対象企業について、買い手が側がその企業自体や事業についての資料を分析および検討し、必要に応じて担当者からの聞き取りなどを行うことなどで、企業の実態を詳細に調査することをいう。日本語における「買収監査」と同意。

英語でDue Diligence と表記され、Due(適正な・公正な)、Diligence(注意を払って遂行する)の意。つまり「適正で万全の注意を払って遂行される審査」を意味する言葉で「適正評価手続」と訳されているが、「公正精密審査」または「適正詳細調査」ともいう。略語として DD と呼ばれることが多い。

事業・財務・法務・人事・システム・環境など対象会社の特性に応じて種々の詳細調査が実施され、多くは公認会計士や弁護士などの専門家チームを編成して行われる。

デュー・ディリジェンスの結果は、最終契約内容に反映され、そこまでの過程で発見した問題点に応じて価格を決め、また、表明保証対象とするなどの対応をする。
問題点の解決を見極めるための確認期間が両者の間で決められることもある。

課題やリスク要因の見極めの一方で、将来におけるビジネスチャンスや顕在化していないシナジーの可能性を見出す意味合いもある。

のれん

のれんとは、売却企業の時価評価純資産と買収価額との差額のことをいう。

以前は営業権と呼ばれたが、会社法施行後、「のれん(暖簾)」と呼ばれるようになった。

企業が有するノウハウや立地、顧客への知名度や品質、ブランドイメージなど、代替できない無形の価値を意味する。

のれんはその性質上、原則として資産計上されず、貸借対照表には顕在化しない。しかし、M&Aで会社を売却する場合には、例外的に営業権勘定を用いて資産計上をすることが可能となる。
のれんの価格は、売却企業の時価評価純資産と買収価額との差額がそれにあたる。例えば、1億5,000万円で企業が買収された場合、その売却企業の時価評価純資産が1億円であるなら、その差額の5,000万円がのれんの価格・のれん代となる。
M&Aにおいて、この「のれん代」の評価が譲渡価格を左右する重要な項目となり得る。

2006年度より、のれんの一括償却は原則禁止されており、のれんの取得後20年以内に規則的に償却し、各期の償却額は販売費及び一般管理費として計上する。

バーチャルデータルーム

バーチャルデータルームとは、M&Aのデューデリジェンス(買収監査)の際の情報共有のため、Web上での電子化された関連資料を開示する場所をいう。物理的なデータルームではない。
Virtual Data roomの頭文字をとって、VDRとも呼ばれる。

M&Aを行う際には、売手と買手側の交渉材料であり、経営の根幹に関わる機密性の高い情報をやりとりにすることになるため、関係当事者以外がアクセス出来ぬよう十分なセキュリティが確保されていることが重要となる。

近年は、知的財産や設計データの共有、社外取締役との資料の共有など、様々な用途での利用が進んでいる。